01Blog / ラーメン代稼ぎすることの後ろめたさの正体

2017.06.09

※ 2013年頃のブログのリバイズです。

2009年7月にY Combinatorのポール・グラハム氏が「Ramen Profitable」を再定義し、スタートアップ(起業家)にとっての有用性を説いてくれたことは大変意義深いことでした。
http://www.paulgraham.com/ramenprofitable.html

純日本人の私としては、アメリカでもラーメンは「安い庶民の食べ物」みたいな扱いを受けているのか、と変なところで関心しました。(ところで、日本のラーメンの発展は凄まじいものがあり、美味しいラーメン屋が乱立しているので、ラーメン=生きていくのに最低限の質素な食事と表現するのは無理になる日が来るのでは、という無駄な心配もしています。)

さて、ポール・グラハム氏がこのブログを発表してくれた効用は、今まで「ラーメン代稼ぎ」をしていた起業家の後ろめたさを後退させたことだと思います。今でも「受託の罠」の「わな」ように表現されるように起業家にとっては禁じ手のような扱いを受けているということです。

VC等のEquityの提供者からしてみれば、「回り道しないで、早く本業の事業価値を上げろよ」ということなので、VC等の投資家を中心として出来上がった無言のプレッシャー(無言じゃないかも)が不文律として定着したものかとも思うんです。

Debt提供者にしてみれば、債権の回収可能性を少しでも高めるラーメン代稼ぎは推奨することはないにせよ、止める理由もないですし、起業家本人も最低限人間らしい生活はしたいと思っていますし、事業のバーンレートを少しでも浅く短くしたいと思うのです。何よりも、薄くてもキャッシュが入ってきている状態というのは精神安定に繋がります。

それでも、もう少し起業家は複雑です。「後ろめたさ」という表現ではなく、結局、確実、かつ手っ取り早く現金化できる「受託」や「コンサル」等に時間をとられ、ミッションを掲げた本業が疎かになる不本意さは常に感じることになります。ただし、これも他人の目を気にする後ろめたさとはちょっと違う種類の感情かなと。

今や最初に立てた仮説が始めから当たることなどないし、試行錯誤しながら、PDCAサイクルをぐるぐる回し、場合によってはピボットし、創業メンバーも変化していく。

ラーメン代稼ぎはキャッシュになる事業を探し当てるプロセスでもあり、多様な情報、多様な人的ネットワークを入手することも可能にします。そこから本業に辿り着くケースだってあるでしょう。

VCのようなリスクマネーを入れてスケールを狙い、EXITを視野にするビジネスなのか、Debtや自己資金を入れて着実に育てるビジネスなのかによって、また、成長のステージによっても、論点の重心は変わるのですが、もう少し、ラーメン代稼ぎもひとつの資金調達手段として市民権を得てもいいんじゃないかなぁと思うのです。

という私もラーメン代稼ぎをしつつ、最近は餃子まで付けられるようになってしまい、やりたいことがやれているのか?

というジレンマを感じつつ、このように正当化することで自分を慰めています(;_;)。

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