【01Blog】大企業の技術者がリストラされたら気をつけること(1)

2014.09.15

大手電機メーカの研究所で遭遇した大規模リストラの嵐 私はバブルが終わった頃に大企業の研究所に入社しました。普通に大学を出て、大学院に進み、電機メーカの研究所に入る。良くありがちな理系男子のプチ成功パターンです。入社当時はなんというか、学校に入るようなもので、会社を辞めるなんて想像もしなかったし、その会社でどうやって出世するのか、地位を確保して行くのか?とまで脂ぎってはいませんでしたが、特に他の人生も考えてませんでした。部課長クラスの人では大学の教授として移動している人も多かったので、そのような道は考えられましたが、仮に10年私の入社が早かったとしたら、まだ、あの研究所付近(存在すればですが)、またはそれに付随する部門にいたとも思えます。会社での成績も良かったし、まぁ、部長なのか課長なのかそれぐらいの地位になっていたかも知れません。大手電機メーカの部長といえば、そこそこの地位でしたし、部課長クラスは大学の教授に行かれる人も多かったので、すごいとも思ってました。どこに行ってもまぁ、社名は知ってます。親も心配しないし、悪くないイメージです。特に会社が嫌いなわけでもなく、むしろ大好きです。私の研究室の大学の教授のお父上がその会社の中央研究所の所長だったりもしましたので、何かの縁もありました。「なぜやらないんだ?」「やりたいことはやれ!」。当時ものすごい人だと有名だった自分の居たWorksLabの所長との懇親会では、「エレベータの研究所があったほうが良いと思う?」「だったらなぜ創ろうと活動しないんだ?」と。スケールも大きく度肝も抜かれました。そう、今でもあの会社は大好きなんです。 そう、バブルが崩壊しなければ。僕はまだ居酒屋で周りを愚痴りながら、あの幸せな夢の中の世界にいたのでしょう。 重電系であったため、バブルの頃に予算化されたであろう設備投資は絶好調。まさに、私の入社した部門は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。その鳥がものの見事に落ちるのに数年。国内受注に偏重していたため、国内での設備投資がストップ。受注がゼロ!今の人には当たり前かも知れませんが、リストラの嵐が吹き荒れました。ここ数年、関西系の電機メーカを中心に大規模なリストラがありましたが、私にとってはもう10年も前の話。正直今更?という気もしてます。 その後の数年間は今思えば普通かも知れませんが、僕にとってはまるで夢を見ているようでした。マレー沖海戦の浮沈戦艦プリンスオブウェールズの轟沈の時にチャーチルが受けた衝撃(の方が大きいでしょうが)のようなものでしょう。そこで自分の中の価値観が根底から覆されたのです。 当たり前ですが、会社は営利団体です。何か、会社を恨む人も居ます。確かに会社の戦略はまずいと思います。ただし、僕はリストラされる側の気持ちとして、それに恨み節を言うのであれば、己を反省せよ!と言いたい。当時、結構電機メーカでの他社も含めてリストラがすごかったですが、こんな声を聞きました。「こんなんなら会社の言うことなんて聞かないで、自分の事をもっとやっておけばよかった」。確かに言われたことをやらないのは責められますし、自分勝手ばかりはできないです。誰もがそこまで考えて行動しないでしょう。 部課長は全く信用できなくなりました。「頑張っていればなんとかなる!」日本的な掛け声。小言で「そんなの有るわけ無いだろ」と部下たち。不勉強とはいえない。しかし、所詮、理系での技術者がマネージメントです。技術が分かるというのは大きい(逆に現場や技術を知らない文系のマネージメントがおかしくする例も多いので)ですが、マーケットやマーケティング、戦略なんて分かるわけがありません。いいとこ、新聞を読んでるか会社の研修を受けているぐらいでしょ(申し訳ありませんが。。)。 最近は良くなったかも知れませんが、日本は「穢れ」の精神や「クラフトマン」的な国民性がありますので、技術系が文系的要素を低く見る傾向があります。特に我々のような世代(35代より前)は「日本は資源が無いから技術がないとダメなんだ」と思い込んでますので、この考えも強い。もちろん、技術がダメだとは言ってません。勘違い無きよう。だた、 技術は所詮ツールに過ぎず、もっと大きな戦略など文系的要素に支配されている場合の方が多いのです。もし偉いのか偉くないのか?というのであれば文系の方がよっぽど凄い。技術を神聖化し過ぎです。理系の人こそ、文系的要素を積極的に学ばねばなりません。 大量の早期退職の挨拶文の束。え?あの人も、え?この人も!?と辞めまくります。研究所の部課長クラスは教授に数名がトランスファーしました(ご自身のことですから責任ある立場の人も居ましたが責められません)。辞めた人がその後の自己認識と社会ニーズの差により、厳しい思いをされた例は後々噂で聞きました。己が悪いとは思います。しかし、高度成長期を支えた人たち。その中で実力はあったかも知れないが、世渡りがうまく行かなかった、学歴が低かった人は辞めていきました。何も悪いことをしていません。今でもその方々の笑顔が目に浮かびます。 できれは、あんなことは繰り返してほしくない。自己認識がしっかりしていれば、もっと早くから準備があれば方向性も変わっただろうと。 私は、意味ない事はやりたくないので、市場の調査を自分なりにして色々Reportを出しました。誰が何を思ったかは知りません。そんな中、流石にまずいと思って、異業種交流会や海外系の勉強会などに参加しだしました。人にもよりますが、 大企業?あー?できない人たちね。 という扱いをされだしました。それなりに、頑張っていたので、これは悔しかったですが、聞く耳を持ってもらえませんし、そもそも社外で誇れるようなこともしてません(実力を証明できません:そもそもなかったのかも知れませんが)。そんな中、勉強会のメンバーから、大手商社が人材募集するので、応募してみたらと言われました。 ほんとに手が震えたんです。 初めて、敷かれたレールから出ようとしました。エントリーフォームを書きます。もちろん、書き方の問題だったかも知れませんが、自分の所属する重電系の商社部門です。エントリーを書きながら思いました。色々書く時に、学歴の欄が出てきます。まー、東大でも京大でも無い、青山学院ですからショボイとは思いますが、一応大学院も出ているし、、、。問題は、その後の学歴なんです。社会人以降の。何もない。 確かに仕事は頑張りましたよ。でも、社会人になってから、何も「自分の意志で」学んでいないんです。 震える手で(本当に震えました)エントリーフォームの送信ボタンをこっそり夜中に送りました。もう一つ衝撃だったのは、当然、沢山応募が来たんだろうし、エントリーフォームの書き方も問題もあったんでしょうし、スキルセットも合わなかったが、見た目、ドンピシャに見えるような部門で、しかも、大手の研究所の人。会社での成績も上位5%。 面接さえ受けさせてもらえないんです。 次回につづく。

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