【01Blog】極限状態の科学「虜人日記」から見る日系企業や起業家が気をつけること

2014.09.25

極限状態で日本人はどのような行動を取るのか? 虜人日記小松真一さんが第二次世界大戦の戦中から戦後の捕虜生活を絵日記的にまとめたものです。私としては日本人が極限状態になった時にどのような行動を取り、また、どのようにしたら人から好かれたり、逆に恨まれたりするかを知る手立てになると思ってます。特に起業のような命は取られないまでも厳しい環境であるので、なるほど!と納得するところもあります。 大宮の駅ナカ この本を読むキッカケは新しい市場のつくりかたで日本人の特性を考える上で参照されていたことに端を発します。私は何も日本はなってない!的な日本ダメダメ論者ではありません。ただ、起業の現場に立ち会うと日本的文化が時に問題を起こすことも感じております。大企業とスタートアップがうまくいかないのもこの日本文化に根ざすところも大きい(もちろん世界的によほど雇用が流動するような環境ではないと大企業とスタートアップがダイレクトに何かするのはそもそも難しいですが)。これらを理解することで少しでも日本自体が新規事業を国際協調しながら行える道を模索するということになります。米国が全て正しいわけではないでしょうが、こと、新規事業・イノベーティブな事業という意味では依然として世界でもトップであると思います。その対比もこの本に書いてあります。敗因の21箇条はここにあります。 1. 指導者に生物学的常識がなかった事 私はこれはインセンティブの問題かと思っております。私は国際・日本内を含めて多くのアライアンスに関わりましたが、何故か人を思いやる能力の高い日本人ながら集団になるとWin-Winをしなくなる傾向にあると思えます。これは社内の部門間もそうですし、他社の場合もです。特に相手のことばかり思いやる必要は無いんですが、どんな場合でも何かをお願いすれば相手は人件費を消耗しているので、これを無償で使う的な考えが大企業ーベンチャー関係では出てしまうのと、アライアンスの時はとにかくTake All型になりやすいですね。相手のインセンティブを考えるという習慣が必要かと思えます。もう一つは特にアライアンス系ですが、自社よりも他社と組んだ方が話が大きいと思いますので、この点は日系起業はあまり得意ではないですね。 フィリピンの乗り合い車 2. 日本の不合理性と米国の合理性 ここは特に起業の際に問題になりますね。日系の起業家は精神的な面が強く、合理性に弱い部分がありそうです。大企業でも起業でも同じですが、細かいところにこだわり、大局を見ない傾向があるということだと思えます。起業では個人的な気持ちとかでビジネス上合理的に行動しないと生きていけないところでこだわりを持ってしまうなどが典型ですね。 3. 平等に扱うこと 日本が恨まれた部分と喜ばれた部分があります。簡単に言うと相手の事情を理解せず、文化の押し付けを行った場合に恨まれる傾向が強いですね。 逆に、相手ことを考えて貢献した場合は非常に尊敬されると。この二つの逆の要素が日本にあったようですね。そもそも特に集団になると高圧的になる傾向があるので、この点は大企業の方がベンチャーと付き合うときに気をつけるところだと思えます。 NYCの駅の星条旗 私が昔USの大手ベンダーへの売り込みで代理店を使っていましたが、そこの代表の人が売り込み先大手米国ベンダーの購買代表にスイッチしたことがありました。このような人材流動性は日本では流石にあまり無いですが、もちろん、利益は取るものの、下請けだという気持ちではなく、人としてはどうなるかわからないという付き合い方が必要だと痛感した瞬間です。。。(失礼が無くて良かったです)。 4. 人に干渉しない ここは日本の良さでもあるんですが。。人の文化や考えにあまり干渉しないというのが米国人の取った行動だったとか。特に全く違う考えを持った人を、まずは、なるほど、そういう考え方もあるのね。と受け入れる姿勢があると良さそうです。特にイノベーティブな新規事業はそもそも当初ニーズが分かりませんので頭から否定しないということだと思えます。 5. 性悪説 これはどちらかというと起業側で顕著ですね。色々なトラブルが起こりますので、こんなはずは!とか、礼儀が!とか色々言う前に自分たちのやり方を反省するというところかと思います。 6. 技術神話 確かに、ある部分、部分の技術は優れていたが全体として米国の方が効率が良かったということですね。特に小松真一さんは技術者ですからここが良くわかったようです。必要以上に品質を追い求めるがために、大局を見失っていると日本人の習性を戒めています。 虜人日記と新しい市場のつくりかたは日本人の陥りがちな欠点が書いて有りますので一読されるのも良いかと思います。

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