01Blob / ベンチャー企業の目利き力は他人に移管できるのか?

2016.03.03

最近、多くの行政様、大手企業様に聞かれることは「ベンチャー企業のどこを見て、何をみて評価するんですか?」「社内にベンチャー企業の目利き力を着けたいんです」と聞かれることが増えてきました。それだけベンチャー企業と大手企業のオープンイノベーションが浸透してきた証左かと思います。

では、ベンチャー企業の目利き力は他人に、組織に移管できるのでしょうか?

我々も多くのキャピタリストの先輩、起業家支援活動をされる先達に指導を仰いできましたが、体系立って、可視化されて、理論的に指導を受けたいことはありません。多くの起業家や支援者の方々とのコミュニケーションを通じて徐々に「勘」を研ぎ澄ませてきました。もちろん、その勘は一定の確率で間違います。ベンチャー企業の成功確率が15%~29%(Google Ventures調べ)であることから目利きに失敗しない人などいないということでもあります。

さて、個人的には以下の理由からベンチャー企業の目利き力の他人への移管はできるが、難しいという考えです。

〔1〕ベンチャー企業と支援者の相互の関係性

ベンチャー企業と支援者は相互の信頼関係によって成り立っている以上、一方的なベンチャー企業に対する目利きではありません。支援者が創業者と友好的な関係を築けるのか、支援者がその事業に関して知見や経験をもって、ベンチャー企業へ有用な意見を言えるのか、何よりも創業者同様に事業にコミットできるのか、が重要になってきます。ということはその事業に対する自分自身を目利きするということも必要になってきます。

〔2〕競争環境においては移管する動機が薄い

仮に目利き力が体系的に移管が可能であっても、ビジネスの競争環境では目利きを他人に移管する動機はないのが普通です。目利きに自信があればあるほど自分で投資をしたほうが得なのですから。いわゆる一子相伝的に達観した先輩が後輩を指導していくようなことはありますが。

〔3〕完璧な支援者はいない

上述通り、支援者にも得意分野、不得意分野があり、かつ相性がいい創業者、相性がわるい創業者がいる以上、すべての目利きを当てることなど不可能ともいえます。失敗の許容度を把握しているというのも重要かもしれません。

〔4〕成功は作られるもの

もう一つは「よいベンチャー企業を見つけるのではなく」「よいベンチャー企業の成功をどう創るか」という視点もあります。目利きをするという意味では、創業者を目利きするというより、事業を目利きするというより、成功(プレイヤーによって成功の定義は一律ではない)まで持っていけるか、という視点になります。「上場ゴール」なんていうのが(ネガティブな印象がありますが)よい例だと思います。まぁ、それも目利きといえば目利きですが。


というような雰囲気を知ることだけでも目利き力があるということにもなるのかもしれませんね。とはいえ、私も01Boosterも、さらに目利き力を高めるために学びの日々です。

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