~オープンイノベーションの概念と条件~
「オープンイノベーションとは、知識の流入と流出自社の目的に叶うように利用して社内イノベーションを加速するとともに、イノベーションの社外活用を促進する市場を拡大することだ。」
これはオープンイノベーションの名付け親であるヘンリー・チェスブロウ教授の著書「Open
Innovation」の一節です。
一般にオープンイノベーションは、イノベーションを起こすための「ツール」であると誤解されがちですが「ツール」ではなく、「企業がいかにして効率よくイノベーションを起こすか」ということについての「考え方=方法論」なのです。
そもそも、オープンイノベーションの概念は、従来のクローズドイノベーションや、企業内の研究開発(R&D)活動が自社内だけにとどまるような垂直統合モデルへ対する「課題意識」から生まれています。では、従来のイノベーション(クローズドイノベーション)とオープンイノベーションは何が違うのでしょうか?
(例えば新事業(ビジネス)開発の枠組みなら)
下記4つの条件が揃って、初めてオープンイノベーションと呼ぶことができると言えます。
①<基盤>社内、社外どちらの技術、資源基盤も両方活用し課題解決と事業開発の基盤とする。
②<ルート>想定通りの開発ルートだけでなく、リソースの提供により研究開発の開発ルートが変わることを想定としている。
③<プロセス>開発プロセス中においても外部からの情報が反映され続けることにより、ルートの多様性が生まれる。
④<ゴール>想定通りの市場だけでなく、他社市場や全く新しい市場を既存組織とは別の組織で開拓する場合もあり、ゴールが複数設定されている。
~堅調な既存事業があっても何故イノベーションが必要なのか~
企業はなぜ、「新規事業」に人と資金を割かなければならないのか、既に成功を収めている「既存事業」に注力するだけではいけないのでしょうか。
イノベーションを考える上で、このような疑問を抱く人も少なくないはずです。
中小企業庁が発行した調査結果に、こんなものがあります。「売上高、経営利益、常用雇用者のいずれも新事業展開を行った企業ほど高くなる」
また、「10年間での売上高増加傾向も強くなる」というものです。これは、裏を返せば「同じ事業だけやっていると企業は衰退する」とも言えるでしょう。
社内の資源量を、堅調な既存事業に優先的に配分すれば目先では良い功績を挙げられるかもしれませんが、その効果は短期的なものに過ぎず、現状の業績は長くは続かないのです。
競争環境において超過利潤が発生してくる事業には必ず競合の参入が発生し、経済の原理では、最終的に利潤が限りなくゼロの状態に近づいていく。いつか訪れるその時に備え、
企業にとって「新規事業の創出」の想像は生き残りのための必要不可欠な手段と言えるのです。
オープンイノベーションをさらに学びたい方はこちらのイベントにお越しください。