01Blog / 不確実性に対する不適合を乗り越える

2017.02.03

新規事業の開発、特に革新的なイノベーションを起こそうとする場合、新しい顧客や市場を創造するために、そこには不確実性の連続があります。多くの企業社員はいかに合理的な説明するかを意思決定者に求められています。そして、意思決定をする役員はいかに合理的な意思決定をするかを自分に課されています。そして、ハイパーコンペティションの時代に、その下された意思決定はもはやイノベーションではありません。既存企業の役職員ではなくても、そもそも人は誰でも不確実なものを避けようとするのです。

イノベーションを、新規性のある新規事業を起こすことは「不確実性のマネジメント」です。多くの企業は不確実性はできるだけ避けようとします。C.クリステンセンの「イノベーションのジレンマ(Innovators dilemma)」でも、このことを『不確実性に対する不適合』という表現で説明しています。明確で強い意思を持っていない限り、組織は「不確実性を避け、抵抗し、不適合」を起こすことになります。ユニクロの柳井社長はそれを「1勝9敗」という表現で説明していますが、新規事業開発とは、まさに「9敗」を正当化するプロセスとも言えます。サイバーエージェントの藤田社長は「失敗は格好いい」と言って、失敗に対しても正当に評価しています。

企業の新規事業開発ご担当者は本当に優秀な方が多いです。ヂ頭が良く、非常に優秀な方々ばかりです。ですので、お話しすると「不確実性に対する不適合」はほぼ理解されます。理解はされるのですが、行動には繋がりません。結局、説明合理性や組織合理性を求められています。これも、「イノベーションのジレンマ」では、「ネットワークバリューの罠」や「コンピテンシートラップ」という表現で説明されています。組織の価値基準や行動基準はそう簡単には変えられないのです。そして、それらを変えられる人はどこかで会社を去っています。

多くの企業様から「どうすれば失敗しませんか?」「確実に新規事業を生む方法を教えてください」「成功する事業計画を書いてください」「どれだけリソースを割けば事業は生まれますか?」、ちょっと極端に書きましたが、これらに近いことを聞かれます。

イノベーションは「不確実性の高いもの」「困難に打ち勝てる理由を備えたメンバー」で、いくつも「トライ&アンドエラー」する「失敗の正当化」プロセスなのです。結局、中長期的にはその方が合理性があるということになります。

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