最近になって動画で起業にまつわる動画を01チャンネルとしてYoutubeにUploadしています。その中で「会社員から起業する際のポイント」という動画のView数が高かったです。
多くの会社員の方が起業に向かう志向を持っていることをとても素晴らしく思います。我々の運用するアクセラレーターでもいわゆる名だたる大手企業を辞めてくる方が提出するプランが半分弱あります。確実に会社を辞めて起業する流れが静かですが来ています。
世界を動かしているのは大手企業かも知れないが、世界を変えているのはスタートアップ
さて、そこで、標記に関して様々な事例をベースにここでもう少しまとめておきます。全部は書き切れないので特に厳しいものだけ。
ポジティブ面を先に!「思いのほか生きていける」
これは先にお伝えしておきます。正直、思いのほか生きていけます(というか皆さん生きています)。有利な点は生きていくために「行動する人」としかネットワークできない(実質行動頂けない人とは生きていけないので短中期的に付き合えなくなる)ので、仮に、上手く行かなくてもそういうネットワークなので誰かが拾ってくれます。
お金と給料
ここは正直よく聞くのが最初から高い給料を取ったり(数年無給が普通)オフィスを借りたりというお金を使いすぎな場合が多いことと「給料が出ないというのは想定よりもずっと大変」ですね。これはいくら想像しても実際にその状態になるまでは分かりません。
家族は自分のことを理解してくれる存在と期待してはならない
子供数名、家のローン、貯蓄が殆ど無いなど、あり得ない状況で起業する人も多いです。この点は感覚の問題なのでなんとも言えないのですが、事業が立ち上がるのに数年かかるので、最低でも1年半〜2年間は無給でも生きていけるぐらいの固定費である必要があります。
多くの成功した起業家は非常にコスト意識が高く、いわゆる「ケチ」である
世間は冷たい、人脈はありますか?
世間はとにかく冷たいです。あと、既存の人脈の9割、いや、場合によっては100%が以降に(友達としてはともかく)使えない可能性があります。これは業種にもよるでしょうが。誰が起業した後に助けになるかは正直、その状態にならないと分かりません。仕事頼むからという話で情報抜きなんて当たり前(以降はこれぐらいの金額でと言えば、その反応でわかりますが)、いやはや追い剥ぎか?と思いますが、そんなもんです。人間不信に陥る人が多いですが、まぁ、そんなもんです。なので、会社に居るうちからとにかく「起業系」の人脈を創ることをお勧めします。また、特に大手の場合に感じるのは会う人が物凄くフィルタリングされていたということです。世の中本当に色んな人がいます。
想定よりもかなり激しく、相当、世間から低く見られる
下駄が半端ない
能力があるとかないとかではなく、自分の履いていた下駄が凄いです。自分があると思った能力は実はなく、想定しなかったものが武器になったりしますが。簡単に言えば自分を正確に客観視出来る人なんて存在しませんから、プライドは傷つくし、ここは相当、転職をしたとか、起業をして変化する評価軸を持っていないと(持っていたとしても)相当想定と違います。国籍によりますが日本の生まれならば「日本人」以外は何もないわけです。アイデンティティクライシスです。
カオスが半端ない
これも大変ですね。いわゆる「毎日が夏休み」「自由という名の残酷」ですね。起業(特にスタートアップは)では何をするか?というゴールを決めることで、ゴールに向かって走る(効率化など)とは違ったプロセスです。この「決断する」というのが実は経験していそうで全く初めてになるので、相当なカオスです。朝起きても何時に定期的に行く必要も無いわけです。
人間関係は揉める
揉めるのがデフォルトです。一般的には折り合いを付けて和を尊ぶのは会社までですね。ロイヤリティも答えも(給料も!)無い中では人は揉めるのがDefaultです。チームアップは必要ですが(一人ではできないので)、チームアップは難しい。でも「組んで働かないと分かりません」。人は分かりません。
それでも一人ではスタートアップはできません。共同創業者を見つけましょう。チームも創りましょう。そして、人情は長期的な非人情につながるかも知れません。
会社の福利厚生は半端ない
なんだなんだ、税金が来たぞ?健康保険は?年金は?など。とにかく、どれだけ会社って(会社にもよるでしょうが)福利厚生が厚かったかを思い知る瞬間です。
社食!?住宅補助!?家族手当。。。痺れます。。
やり方が半端なく違う、時に「真逆」
これは難しいです。皆で意思決定しての合議主義はそもそもスタートアップでは厳しい。スピードも違う。考えても分からない。つまり、考え方、思想、マインドセット、手法に至るまで、会社のそれとは全てが時に真逆です。これが最初わからない。個人的には、できるだけ、創業に近い(できるだけ20名以下ぐらい)ベンチャーにジョインしてから自分で起業するのをいつもお勧めしまてます。
UnlearningとRelearningが必要
お金を取るのが難しい
お金を取れないのではなく、どんなに優秀な営業の人でも売るものが決まっていたら売れますが、売るものを「自分で」決めて、売る、という経験は実はありません。素養は使えるかも知れませんが、相当苦労します。「この商品・サービスに対し、お金をこれだけ下さい」とフェアバリューを言うことが物凄く実は難しいのです。
ビジョンは重要
なかなかビジョンなんて考えることが無いものです。人を方向づけるためには「指針」が必要で、これがビジョンの一つの役割なんですが、そこまでの認識が無いのが実際ですね。方針にも近いかも知れません。
顧客・ビジネスモデル・ニーズはとても解かりづらい
「誰が顧客」で「何のビジネス」をしており「顧客のニーズ」とは何か。そんなの当たり前と思うかも知れませんが、会社ではなが~い間、それが研ぎ澄まされた中にいるので、そこまで重要で解かりづらいという認識がありません。実は物凄く分かりにくいものです。
人間は恐ろしく弱い
人間は弱いです。保護があればすがります。ラーメン代稼ぎ(テンポラリなマネタイズ、スポットコンサルとか受託とか)からは簡単に逃げられません。配偶者からの支援があったりすると、成功率は実は落ちてしまいます。
拘れば負ける
これは起業一般に言えることですが、勝てる起業家をいろんな人に聞いて一致しているのが「素直」という点ですね。これは言うことをなんでも聞くという意味ではなく、事業を成功させたいのか?自分のプライドを守りたいのか?の差だと思います。特に「一回言ったことは最後までやり抜く」といったような一般的な美徳は起業ではなんの意味もありません。このような起業では使えない美徳も手伝いますので、事業ドメインなどに極度に拘る人がいます。これは勝てませんね。アンラーニングです。
ポジティブ面を最後に!「それでも起業は素晴らしい」
向き不向きもあります。創業の頃を思えば、正直、も~二度とやりたくねー!が正解かもしれませんね。しかし、気分の上がり下がりは激しいが、まるで、ロケットのように上昇するスタートアップ。周りは止まっているに近いので、風景がどんどん変わります。いじめられもしますし、成功に酔ってしまう人もいるでしょう、しかし、その中にも、この微分積分で言うところの変化量「デルタ」と、1mmでも世界を変えられるかもしれない可能性は人を起業の虜にするのです。そして、今の日本にはその大小に限らず(スタートアップ型であろうが無かろうが)起業家が必要です。国の存亡がかかった国家的事業だと思っているのです。
それでも世界を変えたい熱望に心踊る人をお待ちしております。それを好まない人もいるでしょう。しかし、スタートアップほど最高にエキサイティングな経験をすることはなかなかできませんので。