人生を賭けた、無一文からのスタートアップ

投稿者:Tsuji Kouji
2017/09/13 11:30

こちらは2/4記事目になります。

:資金面はどのように工面されていましたか。クラウドファンディングで資金調達されましたけど、起業した最初の頃は貯金などでやりくりされていましたか?

高瀬:始めはそうですね。

亀岡:会社はいつ辞められましたか?

高瀬:前の会社は起業する直前に辞めました。2015年の6月に辞めて、7月に会社を立ち上げました。次のプロジェクトに移る切れ目というか、ちょうど良いタイミングで。

そこから多少の蓄えはあったので、それでしばらくは生きていこうという感覚でしたね。最初は試作をつくって、いけそうだったらクラウドファンディングでお金を集めていこうという、今思うと甘い考えでした。

やってみると当然そんな簡単にはつくれない。初めは少しだけ会社にお金を入れて始めました。事務所もなく、人も雇っておらず、エンジニアの業務委託もまだ何もしていない状態だったので、本当にただのおじさんのサークルでした笑。

だからお金は何も掛かりませんでしたが、そのうち知財やPVをつくり始め、すぐお金がなくなってしまいました。そこで追加で資金を入れるために、蓄えとして残していたお金も全部会社に突っ込み、結局一文無しになりました笑。

そこから親に頼んでお金を借り、その時の役員にもお金を入れてもらいました。もう後に引けなくなり、そこから紹介で知り合ったエンジェル投資家にもお金を入れていただきました。そのあと初期の試作ができたので、クラウドファンディングを始めたという感じです。

蓄えも全部無くなり給料も無い状況ですので、会社とは別に個人で受託をやり、小銭を稼ぎながらなんとか生きていたというのが、最初の頃の状況です。

:初年度は売上げが立たないような状況だったと思いますが、コスト面は初年度どれくらいでしたか?

高瀬:一年目は500万円位だと思います。リーガルフィー関連とPVとかです。試作をつくるためのお金も出たりだとか、まぁPV制作費が一番高いですね。

PVは妥協せずプロにお願いしました?

高瀬:そうですね。安くもできるんですけど、結局動画が命なのでちゃんとしたところにお願いしました。


どん底を味わった起業初期

亀岡:ちなみに、無給時代はどれくらい続きましたか?

高瀬:一年ちょっとですね。一年半はいかないけどという感じです。資金が集まって、クラウドファンディングが終わってからくらいです。

亀岡:それでも前職に比べると少ないですよね?

高瀬:そうですね。それはしばらく仕方ないですね。どこかで見たんですけど、シリーズAとかの調達前が230万円位、調達後が50100万円位とユーザベースの方が書いていて、まさにそんな感じだろうと思います。

亀岡:その時の不安だったり、ご家族の反応とかはどんな感じでしたか?

高瀬:最初の起業する時は、アルバイトみたいに受託をやっていたので、前職ほどはいかないですけど、死なない程度にやれていました。ただ、少し葛藤みたいなものが自分の中でありましたね。それを本業でやりたい訳じゃないのに、という葛藤。

もしエンジニアでCEOの場合は、つくる作業が結構大変だと思うんですけど、自分の場合はカメラをつくれない。投資家に会ったりビジネスプランを考えたりはありましたけど、エンジニアリングほどの時間は取られなかったので、受託が可能でした。

受託は、自分がIT分野にいたので、企業の管理面でのお手伝いをしていました。起業してCEOとエンジニアがいるんだけど、上手く管理できないから中に入って見て欲しいというのが多かったです。

ただ、あまり単価は高くなかったので、なんとか生きていたという感じです。仕事もプロジェクトごとに切れるので、そうすると一気に月収ベースが少なくなります。

フリーランスの方もそうだと思いますが、そのリスクが常にあるので不安でしたね。会社で25日にいつも給料が振り込まれるのは、すごい仕組みだなと気づきました笑。

:そうですよね、わかります笑



実践を通じて学んだ、ファイナンスの知識

高瀬:そういった不安がありつつ、試作をつくり続けていたのですが、想定外なことが起こりました。最初は100万円位で試作がつくれると思っていたのですが、全然足りなくなり、どんどん資金が無くなっていきました。

自分の資金を少しで、残りを全て外部から入れてしまうと、自分の(株の)持分が無くなってしまうので、やはり自分の分を入れられるだけ入れておくべき、と考えていました。そうこうしていたら無くなってしまって笑。

どうやって生きていこうかと考えました。あと株の持分とかは、最初全然わかりませんでした。初期の調達の時に「どれくらい欲しい?」と言われたんですけど、どれくらい欲しいか、シェアをどれくらい渡せばいいのかも知識がなかったです。

その辺りはスキルなので、会社辞める前に教わっておいたほうがいいですよね。でもサラリーマンは誰も教えてくれる訳ではないので理解していませんでした。

亀岡:そうですよね。それミスしたなと思ったことあります?

高瀬:実際ミスしましたね。投資家に入って入金してもらったんですけど、「ごめんなさい、やっぱり自分で入れるのでちょっと待ってもらっていいですか。」と一回返金してというのをやりました。ご迷惑をお掛けしました。

アメリカの投資家で、シリアルアントレプレナーには資金入れるけど、初めてのやつには入れないという人もいるようですが、自分の経験からもそれは納得ですね。

会社は入社すれば先輩が教えてくれますが、起業家はいないですからね。その辺りは、起業する前にゼロワンさんがセミナーとかで教えたりとか。

:実はセミナーでファイナンスの話はやってはいるんですよね。

高瀬:それはいいですね!僕も参加すれば良かった笑。

亀岡:ただ、それって体感しないとわからないことだと思いますね。教えられても、体験しないとわからないことってあるじゃないですか。みんな分かっていてもやっちゃうことって。知識としてあっても、それが本当にダメなことかは、やらないと分からないんじゃないかなと思います。

高瀬:アントレプレナーがそういう体質なのかもしれないですね。やってこけて、初めて理解するというか。人の言うこと聞けない人たちの集まりがアントレプレナー笑。

:そうかもしれないですね笑。

高瀬:だから起業家は成り立っているんだなと、言ってて気づきました。言われて納得するような人たちではないですからね。勉強するというタイミングはあるに越したことはないですけど、実際にその場面になった時に聞ける人がいる。そういう寺子屋的なところがあるのが重要かもしれませんね。


起業家に大切なメンターの存在

:最初に入れていただいたエンジェルの方というのは、どういったタイプの方ですか?完全にノータッチの方から、頻繁に打ち合わせをされる方から色々いらっしゃるかと思いますが。

高瀬:基本はノータッチですね。

初めの方は、元々戦略コンサルタントの方なので、時々お会いして、特に今後の戦略面の相談をさせていただいたりしています。他の投資家の方もそれぞれの専門分野について、時々相談をさせていただいたりはしますが、基本はノータッチです。

本当は元々スタートアップをやっていて、今は投資家やっています。というスタートアップの立上げや運営経験のある方に、がっつりメンタリング入っていただけるとすごくいいなと思います。

そういう人にも知り合い伝手でお会いしたのですが、費用対効果を考えたり、ハードウェアの利幅の難しさなどを考えていくと、投資効果は?みたいな感じになりますね。面白いねと入れてくだされば良いのですが、中々そうはいかないです。

今まで息が合ったり、面白がってくれたり、想いとかで乗ってくれた人は、そこまでスタートアップの投資対効果を細かく追求するということではなく、自らメンタリングしようという感じではない方々です。こちらからも要所要所で連絡したり、頼んだりはありますけど、向こうから頻繁に連絡というのはないですね。

ただ今後は、投資対効果をしっかり示すなど、より明確にしていかなくてはいけなくないと思っています。シードからシリーズAになり、必要な金額も求められるレベルも上がってきていると感じるので、しっかり応えていきたいです。

:本当はメンターが欲しかったというのはありますか?

高瀬:もちろん欲しかったですね。というか今でも欲しいです笑。調達するにもどういったところと、どんなタイミングですれば良いのかとか。全然わからない中で、とにかくぶつかって、やってぶつかっての繰り返しという状況です。

うちはシリアルの人はいないんですよね。創業経験のある人はいますけど、いわゆるスタートアップという人はいないので、そこはゼロワンさんに寧ろ定期的にメンタリングしていただけると嬉しいです笑。




投資家やVCとの付き合い方

:エンジェル投資家やVCの方と一人一人お会いしていくと、かなりコミュニケーションコストが必要ですよね。それはそれで大事な時間ではありますが。

高瀬:そうなんですよ。VCの人とかもお会いしていくと色んな人がいるので、会う人会う人仰ることが違うんですよね。当たり前と言えば当たり前なんですけど。

それぞれの意見を完全に受け入れることはできないため、意見を聞きつつ、自分たちがやるべき道を見極めていくことが大事になります。そういう意味では、お話を伺いながら、影響を受け過ぎないというのが必要だと思いますが、実際のところ結構難しいですね。

お金がないと、やりたいといっても何もできなくなります。しかもハードウェアは初めからお金がめちゃくちゃいるので。。

そのため、時には言われた通りにストーリーを考えて、プレゼンを変えて、という状態になることもあります。プレゼンも練習を誰かに見てもらう訳ではないので、自分で試行錯誤しているだけです。投資家に会う度に修正して、また次会う方を調べて、修正して、また何か言われたら修正して、をずーっとやっていた感じです笑。

VCの方々みなさんプロなので、ご意見はとても参考になります。おかげで以前よりもプレゼンはしっかりしてきたと思います。一方、初期の頃の何でもありのワクワク感が薄れてきている気もしています。

また、例えば1年後の自分から見たとき、今の資料などはまだまだ甘いと思うので、引き続き沢山の方に見ていただき、自問自答して、進化させていきたいです。

そういう感じでVCの方とお会いしていく中で、時々アドバイザー的に会ってくださる起業家に内容を話すと、自分の考えがスッキリするというのはあります。そういう手練れた人が近くにいると、すごく助かります。

ちらは2/4記事目になります。
「瞬きで撮影できるカメラを創る、イノベーター高瀬CEOの素顔」1/4記事
「生死を分けたクラウドファンディング」3/4記事
「世の中に新しい価値を届ける」4/4記事
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投稿者
Tsuji Kouji
株式会社ゼロワンブースター

IT代理店にてNTT・KDDIの企画営業、Yahoo!ショッピング出店舗へのマーケティング業務。住まい・結婚などライフスタイル領域の新規事業開発、テレビ局・飲料メーカー・ゲーム会社などのPR・コンテンツ開発に携わる。2011年に独立し、企業の人材育成・新規事業立上げ支援、Web・アプリプラットフォーム事業設計、エンジニア育成アカデミー運営。2012年に孫泰蔵氏の第2期 SeedAccelerationProgram MOVIDA Scholarship に選出。オールアバウトにて新規事業立上げに従事。2017年01boosterに参画。
【専門分野】新規事業創造、経営戦略、Webプロモーション・プラットフォーム設計、UIUX、マーケティング

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