01Blog / 世界のアクセラレーターと日本の立ち位置

投稿者:Goda George
2017/09/21 00:00

世界最大のアクセラレーターの業界団体であるGlobal Accelerator NetworkのGAN Summitが2017年9月にサンフランシスコで開催されました。01Boosterからも数名参加させて頂き、世界の中の日本に関しての理解を深める機会にしております。今回は、英国発の最大手のStartupbootcampさんなどと一緒にパネルにも出させて頂きました。

そこで、気付いたことをまとめておきます。

まず、世界でも状況は大きく変わらないということです。例えば・・

  • 欧米を中心とした金融緩和で市場にはお金が余っている。
  • 市場全体が飽和気味(なので金融緩和している)なので、オペレーション型(持続型)事業開発からイノベーション型(逸脱・破壊型)になっており、前者型の大手企業はどこも苦労している。
  • この流れから、イノベーション型事業を行う(行いたい)人材はスタートアップに流れる傾向にある。もちろん、完全なスケール型はいわゆるプロ野球の選手であり、能力も必要。全体としては(これはシリコンバレーといえども)マイノリティーとなる。
  • 大学連携(大学の研究成果の事業化)、大企業が厳しい状況というのはどの国でも程度の差はあれ同じ課題となる。

一方で違う部分もあります。これは国の規模と社会システムによります。例えば・・

  • 北欧のようなところでは地域からのスタートアップは出てくる。なぜなら国内市場が小さいので(大きな都市でも100万以下)、そもそも「ボーングローンバル」という概念となる。
  • 特に英米(アングロサクソン型資本主義)では継続という概念が薄い。なので、大手企業でイノベーション型新規事業を興そうというマインドセットが薄く、M&Aやスタートアップにそこはやらせるという概念がある。また、コーポレートアクセラレーターでも日本では主軸となる大手企業内への働きかけへの概念が薄い。例えば品質保証などの専門分野での貢献を求めるがそれ以上は・・という感じとなる。社内をイノベーション事業を興せるように変革したいというWillは多分、ライン型の日本(多分、同じような産業構造のドイツ)での特殊需要となる。

また、これは、日本というよりは、01Boosterが日本型に色々考えてやっているところで、例えば・・

  • KPI設定をしない。これは、欧米はKPI設定に向かっており、不確実性のイノベーションを数値化しようという、誰もがおかしいと思っているが、止められないジレンマに陥っている。
  • プロパー投資である。これは、皆、投資家を募るとどうしても話がずれるのが理論上はわかっているが、なかなか。。(欧米を中心にVCからの委託運用のアクセラレーターが多い)

などがあります。欧米も背に腹は変えられない。科学したいという欲望に駆られているわけですね。悩ましい限りです。ここから、私達が学べることは安易に日本はまだまだ大丈夫!と言いたいわけではないんですが、良いところは活かしたい。海外にヒヤリングすると、大手とスタートアップの乖離はもっと激しかったりします。なので、こんな感じではないかと。

  • 日本の最大のネックはコミュニティが閉じること。ここをできるだけ、横にネットワークする。行政、地銀、大学、地域、産業、中堅・中小、大企業、スタートアップ。逆に言えば、閉じていてお互いに遠いが、文化的にミックスできないわけでもない(海外は閉じてはいないが逆に難しかったりする)。
  • 「起業家」を増やす。これは、起業でもいいし、大手企業からのスピンオフ・アウトでもOK。要は、小組織でスピードと目標値を変えて(1000億の事業の隣で初速100万円とかの事業はできないのが人情、これは世界中で変わらない)実施できるチームでイノベーションを行う。とにかく、トライ数が圧倒的に日本は少ない。
  • 地域はとにかく「東京」と比較しない。VC的な短期視点はあまり合わない場合もあるので、日本が比較的足元の市場規模が大きい(だからこそグローバル化が難しい点もある)ので、そこでキャッシュを稼ぎ、海外との協創(単純な輸出は相手国のためにならず)を行う。このためには、全員である必要はないが、志向のあるチームには海外と連携しやすいようにする。
  • 大手企業にはコーポレートアクセラレーター等をベースに外部とのコネクションを創る。いくら大きな会社でも単独の会社(グループだとしても)でのイノベーション事業の開発は今の世界では小さすぎる(イノベーションで重要な新結合の機会が少ない)ので、単独会社から外部との連携したエコシステムを構築する。
  • 起業チーム(社内スピンオフ起業も含む)の目標を、個人事業、中小、非上場起業、スタートアップと組み合わせる(誰もがスタートアップではうまくいかない)。VCはあくまで米英のマインドセットであり、合う人・事業・チームとそうではないものを分ける。
  • イノベーション型のマインドセット(今は真逆に振れている)をもっと広めていく。

以上、まとめてみましたが、軸って重要だと思います。ある本で読みましたが、英語では名詞の複数形と単数形を分ける、日本語は分けない、というのはあくまで「英語を勉強したから分かる」ことだと思えます。つまり、比較対象が無いと、自分が一体どこに居るのかわからなくなる気がします。今の日本は比較意識が弱いか、非常に偏った対象と比較しているのではないでしょうか。

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投稿者
Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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