01Blog / 技術・研究系のプレゼン(ピッチ)で気をつけること

投稿者:Goda George
2017/09/24 00:00

技術・研究者のピッチを聞く機会が多いのですが、いくつかビジネスサイドから留意点があるかと思えますので、ここにまとめておきます。

応用例が多すぎる

この技術はこれにも使える、あれにも使えるという話が多いです。

結局のところ何がやりたいのか?

と分からないケースです。これがとにかく多いですね。で、結局何がやりたいのか?というところですね。もちろん、研究や技術開発がやりたいというのはわかりますが「事業」として何をしたいのか「世界をどう良くしたいのか?」というところが不明確な事が多いケースです。

あれもこれもできるは結局何もできないということと同じ

に見えてしまいます。あるシンプルな課題をこの技術を使って解決するという話ができればベターです。

ビジネスモデルやマネタイズモデルを聴衆が考えてはくれない

上記の応用例に絡むんですが、何かの要素技術・要素部品を持っていて「組めるところ」と言われてもなかなか難しいところです。聴衆がある特定のニーズがあってそれでシーズを探しているようなケースはあります(偶然の合致)。しかし、実際には、その技術の「量産化」「品質確保・歩留まりカイゼン」「市場浸透」「顧客啓蒙」「チャネル開発」「営業の教育」・・と大量にビジネス化までの道があります。ビジネスモデルやマネタイズモデルを相手が考えてくれるわけではないということです。となると、まずは、仮説でもこのような事業モデルでマネタイズはこう考えていると、もう少しビジネスサイドに歩み寄る必要があるかと思います。

チームの優位性は研究者だけではない

チームが研究者で固めているケースがあります。これはどうなのか?と。思ってしまいます。多分、研究・技術の研究発表ではそれでも良いでしょうが、あくまで「ビジネス」の世界なので、非経験者で固めてあると、これは実際に誰が事業をするのだろう?と思えてしまいます。逆にビジネスサイドの人がそこと組んでいるという分にはいいですが。CEOが研究者で事業未経験だと「どうなのか?」と思ってしまいます。能力が低いというのではなく、あくまで研究ではなく「起業」の世界の話なので。

メジャーリーグでバッターもピッチャーもやっている人はいない

研究発表となってしまっている

様々なグラフやデーターで性能や特性を説明されているケースが多いです。多分、皆が知りたいのは・・

  • その技術がどれぐらい凄くて
  • 何某かの競合や競走分野の技術とどこが優れていて
  • 実現可能性(量産なのか、実用化なのか)はどうなのか?

というところではないでしょうか。これに対して、様々な自社・自研究室の研究成果の性能や特性を説明しているケースが多いです。これは研究発表ではいいかな?と思うのですが、ビジネスのピッチでは聴衆の聞きたいこととは違うと思えます。

(できるだけシンプルな一つの)課題に対して、解決策を提示し、それを自分たち(チーム)が行う上でのストーリー性があり(可能ならUnfairなアドバンテージがあり)、どのようなビジネスモデルで、どれぐらい儲かりそうなのか?

ということを語るべきではないでしょうか。

市場規模と業界規模

この技術の「関連市場」が例えば1000億あるというのは分かります。では、その内、自社が売り上げるものはどうなのか?ですね。となると、1000億の中のあるセグメントの何%となると、10億とかになるかと思います。新しい市場を切り開くというのは素晴らしい。しかし、市場規模と業界規模は分けて考える必要があるかと思います。

リアルな事業への考慮を

ぐーんとスケールアップする売上・利益計画はとても勇ましい。実際にそれを達成する人もいるでしょう。しかし、一般的に、事業開発には2−3年かかります(研究開発を除く)。また、最初はイノベーティブな事業であるほど、顧客の啓蒙や教育に時間がかかります。あえて、最初の顧客を掴んで次に進むようなケース(ポール・グレアムによる「スケールしないことをしよう」前編)もあるので、ここはリアルな事業への考慮の部分をもっともっとと思います。

私は研究者崩れなので、気持ちは分かります。技術=事業と思っていた時期もあります。でも、今は事業開発はやはり難しいと心底思います。素晴らしい研究成果を是非、素晴らしい事業につなげて頂くために事業への考慮をもっと深めて頂くと良いかと思っております。

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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