後悔しない、人生の岐路に立ったときの考え方

2018.03.16

こちらは5/5記事目になります。
後悔しない、人生の岐路に立ったときの考え方 vol.5


  今回インタビューをお願いした理由が、加藤さんのお人柄や魅力を気になっている起業家が多かったからなんですよね。

 

加藤 有難いことです。

 

  今まで、自問自答して内省される中で至ったお考えや価値観が、そのまま加藤さんの魅力に繋がっているとお話の中で感じました。そう考えると、事業創造は人を育むために必要なものだと感じます。

 

加藤 そうですよね。僕は長く広告会社という、利益率の低い仕事をしていました。粗利益率が、だいたい売上の15%くらいしかないんですよ。8085%くらいは仕入れ原価です。

 

   例えば、ヤフのブランドパネルが500万円で売れるとするじゃないですか。CCIに払わなきゃいけない原価425万円あるので、利益は75万円しかないんですよ。ということは取りっぱぐれたら500万円当たるんですよ。

 

   に重要なのは、売上を上げることもさながら、取りっぱぐれないこと、お客さんから売上をちゃんと入金してもらうこと。

 

   中小の広告主は金があるかないかでいうと無いんです。かた広告会社の営業は、新規売上が欲しい。「ここと新たにお取引したいです」とか。

 

   その会社がまともであるかないかをチェックするのが、売上を束ねるマネージャーの仕事です。今月の部署の売上は5000万円目標ね、と。メンバ3人営業マンがいたら「じゃあキミ1000万、アナタ1500万、お前2500万」と売上を割り振ります。

 

   営業は、必死に新規で訪問して折衝する。今サイバーエージェントでやっています、今セプテーニでやっています。それを何とかNIKKOに鞍変えてくださいってやるのが営業の仕事じゃないですか。

 

   マネージャーの仕事というのは、「この会社と取引していいんだっけ?」と。僕はマネージャーに対して「売上のことは大事だと。もっと大事なのは売上を取りっぱぐれないことだ」と言っていました。お金を取ってくることが仕事なんですね。

 

   で、社長の僕は、いつも潰れない会社かどうかの目利きをしていました。過剰に設備投資しているとか、社長が女遊びで悪いうわさがあるとか。会社に行くとやたら浮足立っている社員が多いとか、そういうのは信用できないわけです。僕は「こういうしの会社は危ないよ」ってマネージャーにえてきました。

 

   「新規で取引できました!」と営業マンがって来たら、「おめでとう。次の訪問お礼についていくわ」とマネージャーがお礼についていく。それからトイレが汚くないかとか、社員の目が泳いでないかとか、あるいは悪い噂のいる幹部がいるかいないかとか裏を取る、確認するわけですよね。

 

   場合によっては、探偵まで雇って社長の素行を調査するわけです。やっぱりダメな会社は、お金の遣い方が悪いからです。

 

       遣い方が正しくない会社、んでいる会社は、どの道長くたない。だからいかにダメな会社を見つけられるかがマネージャーのスキルです。僕はそれができる人をどんどん引き上げていました。それを徹底的に教えるわけです。

 

   事業っていうのは盆栽に近いので、ダメな枝をとしていく。良い枝ぶりにするには、いかにダメな組織の分子をき、ダメな取引先と取引しないか、なんですね。

 

   それは投資でも同じだと思うんですね。社長の性根が間違っているところに投資してもしょうがない

 

   それまで口座の残高に50万円しかなかったところに、みんなが寄ってたかって振り込んだら、通帳に5,800万円、12,000万円とか入っている。そうしたら、人間豹変してしまってダメになることもあるわけです。

 

   今はそれを20代そこらの人に、実際に僕とかベンチャーキャピタルとかが放り込んじゃいますからね。出逢ったときに正しいお金の遣い方に関して、倫理観に関して確認していても、往々にして道を外してしまったり、創業の志を失ってしまったりということがあります。これはもうよくあることです。

 

   そんな時に、どうれるか、だとっています。僕はダメになっちゃった参画先の社長を何とか更生させようというか、なぜ貴方のお金の遣い方はダメなのか。わかってくれるまでそれなりに一生懸命やってきたつもりで。

 

   僕が投資参画している先に、他に投資してくれるベンチャーキャピタルさんとか、別の事業会社さんとかいるじゃないですか。僕がそういうことを大事だと思っているので、もしかしたらその辺りで、し思ってくれている人がいるのかもしれないです。

 

   気持ちとして、参画した起業家=社長らにいるようにしています。役員としてベンチャーキャピタルさんと喧嘩することもあります。過保護になっちゃいけないと思いつつ、お金の遣い方とか、倫理的に踏み外しちゃいけないところは、社長と徹底的にやってますね。


大学生の時にした、人生で一番大きな決断とは

 

  気づいていないところを仰っていただけることは、社会人になると機会が少なくなります。特に起業家の場合は上司がいないので、尚更だと思いますが、それを仰っていただけるのは、起業家として、大変有り難いお言葉です。

 

加藤 そういうことが過去に何度かあったので、ちょっと知られているのかもしれないですね。

 

  今まで得た知見を全部持ったうえで、もし大学生に戻れるとしたら何をされたいですか。

 

加藤 大学3年から4年にかけてダイヤルキューネットワークに入るか入らないか、親の会社を継ぐか継がないか1年悩んでめたんですよね。計画留年までして。でみるに100回戻ったとしても、100回同じ選択をすると思うんですよね。人生を左右する選択だったんですけれども、あれほど考えたのはあれっきり一回だけです。この50年間で。

 

   だから自分がそのに戻れるとしても、やっぱり親の会社は継がずに、ダイヤルキューネットワークに就職したと思うんですよ。卒業1か月後に潰れたんですけどね(笑)。

 

   めた後の僕のところに、もし未来の僕が来て、「ダイヤルキューネットワークは、卒業1か月後に潰れるよ」と言われたとしても、「いや、お前の言うことは信じない。俺は自分の力でこの会社をなんとかする」って言うんじゃないかな。

 

   去年5月に、僕は弟を亡くしたんです。19ヵ月年下の弟なので、学年でいうと1つ下です。うちの弟は、僕と全く性格が違う子だったんです。京都大学の工学部に行っていたんですけど、僕が親の会社を継がないとわかったら、商学部に転部しちゃったんです。そのまま卒業して、腰掛で三菱商事に5年行きました。そして親父の会社に入ったんですね。

 

   15年前に親父が身体壊して引退したことを機に、弟が社長になりました。5月まで親父の会社を経営していました。僕が親父の会社を継がなかったからなんですね。そして、いま僕が親の会社をやっています。

 

   思うのは、弟が自分の人生を曲げてまで、親の会社を継ぐっていうことは、がないとめた当時、全く予想していなかったんです。もし学生の時に戻って、未来の僕が現れて、「お前がもし親の会社を継がなかったら、弟が継ぐんだぞ」と言われたらどうだったのか。

 

   弟、研究者になりたかったんじゃないかとうんですよ。でも、僕が親の会社を継がないと分かってから、誰にも相談せずに、工学部から商学部にって。僕ほど人付き合いができる子じゃなかったのに、三菱商事という体育会系のところで、それこそ当時は裸踊りなんかさせられたと思うんですけれど(笑)。

 

   鍛えられて、親父の会社を継いで。本当によくやったと思うんですよね。本人が前向きにんだことなのか、今となっては分からないことなんですけれど。ただ、僕がもし親の会社を継ぐっていう選択をしていたとしたら、弟は継がなかった、それはハッキリしているんです。だから今の質問は、実は弟を亡くしてからずっと考えていたことで。

 

   でも、自分の人生で歩んできた道を過去に遡って、別の道を歩みたいと思ったことはないですし、それでも僕は今のようになっていたんじゃないか、と思います。


人生の選択は、すべてワクワクする道を選べ

 

  人生のターニングポイントで、勇気のある1歩を踏み込めず、元の道をそのまま進んでいく人も多くいますが、加藤さんは、学生の頃から全て一番難しい選択、大きなチャレンジを選択されています。なぜその選択が出来たのか、何かそこに加藤さんならではの価値観、判断基準はありますか。

 

加藤 僕が223歳の頃にダイヤルキューネットワークに行くと決めたのも、41歳でシンガポールに移住すると決めたのも、いまこの世に生きているのも、共通点があるとすれば、ワクワクするほうを選んだ結果、ということです

 

   人生のターニングポイントって、色んな人に色んな状況で色んなシチュエーションで起こりますよね。僕がひとつ何か選ぶ基準をアドバイスするならば、「右か左かワクワクするほうを選べ」です。

 

  1番心が躍る道を選択する。 

 

加藤 基準は、そんな感じですね。考えることは大事です。自分の頭で考える。そして、ワクワクするほうを選ぶ。そしたら、反省はすることはあったとしても後悔することはないんです。反省ばかりが人生だともいます。まぁまぁ、ちゃんと考えてワクワクするほうを選べてたとう。

 

  加藤さんは、直感で決めることはあまり無いですか。

 

加藤 ありますよ。右か左かワクワクするほうは、何となくこっちだって。缶ジュースむときは、飲んだことないほうを取ります(笑)。乗ったことのない車に乗るし、行ったことない国にくようにめています。そこは変わんないというかえたくない。

 

   ただ、先ほどの親の会社を継ぐのか、ダイヤルキューネットワークに行くのか、というのはワクワクするほうを選ぶとかではないところで、自分は1年間悩んだので、そういう自分も知っています。すごく悩んだりできることは、人間の特権だと思いますしね。やっぱそういったタイミングでは、考えたほうが良いです。そして「悩んで悩んで、それでも結論が出ない時はワクワクするほうを選べ」と出資先の社長に言っています。

 

   「俺がどうこうとか、投資家がどうこうとか関係ないから」「自分本位で、我が儘に行ったほうがいいよ」と。

 

  「お前がワクワクする方を選べ」と、後押ししてあげているのですね。

 

加藤 ですね、そうめています。

 

  ちなみに、加藤さんが今1番ワクワクすることって何かありますか。

 

加藤 これからだと、この後18時半からのパーティーにワクワクしています(笑)。とにかく若い人にはワクワク生きてほしいですね。それは思います。もうすぐ51歳になるんですけど、ワクワクし続けることが、自分らしく生きられるかな、と。

 

  最後に、今エンジェル投資家という立場でいらっしゃると思いますが、加藤さんにとって「投資家」とはなんですか。

 

加藤 エンジェル「投資家」というのは、くれてやるってことですよね(笑)。

   だから投資と融資の最大の違いは、貸したお金なのか、くれてやったお金なのかということだと思うんですよ。

 

   僕はエンジェル投資を、「お金くれてやるから、好きなようにやれ」ということだと思うべき、だと考えています。

 

   でも僕の場合は、中に入って社長と一緒に経営に取り組参画先い。僕もお金を投げますけど、他の人にも投資してもらうんです。「にくれてやってください」と言って、頭を下げて回っているんですよ。「も腹を切って、一緒に責任とれる立場として入っているので、僕も当事者なのでちょっとくれてやってみませんか」つって。

 

  すごい、極道の親分みたいですね(笑)。

 

加藤 そうやって頑張ってお金を集めています(笑)。

 

  まさに、出資先の起業家と一心同体で動かれていらっしゃるのですね。本日は、貴重なお話どうもありがとうございました。


こちらは5/5記事目になります。
後悔しない、人生の岐路に立ったときの考え方 vol.5

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