アイデアレベルを対象とするアクセラレーターの「ef.」
日本においてもアクセラレーターが伸びつつありますが、およそ欧米のアクセラレーターは会社成りして、チームが有り、活動しているStartupを対象に(少しLater寄りとも言えます)している傾向が強いです。これは様々な理由があると思いますが「実現可能性」が評価軸に入ってくると、あまりにも初期のレベルの案件を扱うのが難しいということが理由の一つだと思います。後は運営そのもののマネタイズも苦しいというのもあります。
一方で、日本には2つの特徴があります。
- 起業活動率が世界で最も低いレベル
- ビジネスセンスがどうか?というよりは起業や事業創造(特に新分野での)という領域でのリテラシーが低い
つまり、起業はしたいし、ビジネスセンスも実力もあるが(時に経歴も学歴も素晴らしい)、起業や事業創造に関して教育されていない&経験が無いという層がごっそりおります。我々が
学研アクセラレーターと
森永アクセラレーターを通じて感じたのはこの点です。これはアジア全般にも言えることかもしれず、先日、シンガポールの方と話していても「わかる。ウチラもそうなんだよねー」と言ってました。起業活動率だけを見ると、アジアの中でも他国の方が高いですから、日本では特に起業・事業創造領域での教育や経験がない状態で起業する(このため成功率も本人の実力に関わらず低い)、あるいは、それが無いゆえに悶々としている層が大量にいるという事になろうかと思います。
さて、ではこの初期を扱うアクセラレーターが無いか?というとUKにあります。「
Entrepreneur First」(ef.)です。概念は下のスライドを参照下さい。チームではなく「
個人」に焦点を当てているのが特徴です。チームアップも期間中に実施します。つまり、まさに起業家予備軍を起業させて、育て上げるという長大なものですね。
http://www.slideshare.net/mattpclifford/entrepreneur-first-svco-nov13-post
この分野はなかなか扱うのが難しいのはマネタイズの観点です。どのような運営費用を捻出しているかというと、スポンサー型。ロンドン市、KPMG、マッキンゼー、マイクロソフト、スカイ、ワークスペースです。初度に関わらず、投資機能もちゃんと持っているのが特徴です。
行政、会計、ICT、戦略コンサル、後は多分、行政のファイナンス部門。公共性の高い、つまり、視座が高い、エコシステムそのものに対しての投資をかけてくる集団と言えるでしょう。
さて、ef.の流れは下記です。要は、起業のゼロイチの本当の初期段階を伴走して、サービスが立ち上がるまで寄り添うという感じです。
- 能力ある個人(アイデアやプランは関係なく)を見つける
- サポーターがついてアイデアをブラッシュアップしていく(3ヶ月)
- スタートアップを形作る
- ファンディングをサポートする
- その後のアフタホロー
なかなかこれだけの機能を実装するのは難しいのですが、少なくとも既にこれを運用しているStartupがUKに存在するという事実は認める必要があります。そしてこの工程が形は変えども(およそ欧米の物はアジアで完全にはワークしないのでローカライズが必要ですが)日本やアジアに必須とも言えます。
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