【01Blog】教育系スタートアップを俯瞰してみた(2014年度下書き放出)

2015.02.06

2013~2014年はEdtechの年と言えるほど、この業界が盛り上がりました。 シードやシリーズAのファイナンスを受けるスタートアップも増え、熱狂の1年でした。 経済が大きく盛り上がる初期段階は、お祭りのように一定の熱量が必要ですし、そこに多くの参画プレイヤーが集まることが大切です。まさに教育系スタートアップはその様相を呈しています。 EdTechはバブルだ!という意見もありますが、そもそもベンチャーファイナンス自体が1勝9敗で、1勝が実体経済化していって、残りはファイナンスされた価値と経済実態が大きく乖離するわけですから、バブル構造です。また、バブルエコノミー自体は景気循環の中の通常プロセスの1つですので、必ず置き土産を置いていってくれるはずです。特に教育は経済外部性が働きますので、その効果はいろいろな方面に波及すると思います。ですので、祭りは歓迎です。 ちょっと教育業の経験があると、現実的な実行可能性を先回りして、考えすぎ、行動が取れなくなるのでいけません。(自分に言い聞かせる。) この祭りには参加しなくてはいけません。01Boosterもこの祭りには参加しますし、この波には上手く乗っていきたいと思っています。 ちょっとその前にEdTechという言葉も独り歩きしているなぁと感じるところはあります。そもそもITを絡ませないビジネスなんてないとも思いますので、 ①ITをそのものが商品となる(デバイス販売やプログラミング教育etc) ②IT(ソフト)をツールとして使う。(主サービスの補完財となる。) ③IT(ハード)をツールとして使う。(主サービスの補完財となる。) ④ITは意識しない。 などいろいろなプレイヤーが十把一絡げに同じテーブルで議論されていると混乱してしまいますので、できるだけ「教育系スタートアップ」という表現を使っています。(こだわりはないんですけどね。) で、先週1週間、いわゆるEdTech系のUstreamやYouTubeを視まくり、メディアの記事を読みまくってみました。その中でいろいろな考えが生まれて、ノートに落書きをしたので、それを備忘録的に残しておきたいと思います。 ①現時点で市場がないところ(潜在市場)を攻めているプレイヤーがいる スタートアップの絶対法則ですが、大きく、成長している市場を狙うのが鉄則です。教育系の方々は私も付き合いが多いので感じるのですが、志が高く真面目な方々が本当に多いので、「勉強が苦手な人に勉強させるサービス」「今までやらなかった人に隙間時間でさせる」的なサービスが多いんです。 答えはないのですが、本来これはスタートアップがとる戦略としてはNGです。相当ハードルが高い挑戦ですし、相当の時間を覚悟しなければなりません。(そこに短期回収を目標とするVCマネーが入るというミスマッチが起こるということも問題ですが。) ②ニーズはあるがお金を払ってまで買わないサービスがある 上記①に近いですが、ニーズはあるが「お金を払う動機が薄い」ところを攻めているプレイヤーも多いと感じました。これは私が教育業を創業した経験もあるので、よく分かりますが、教育サービスは「欲しいけどお金を払わないもの(意思)」が多いです。 本来経済外部性がある教育は1民間プレイヤーがそのコストを払うことは合理的ではありません。ゆえに公共サービスとして展開されるのですが、それゆえに「公共ではカバー絶対できないところ」をみつけなくてはいけません。「受験教育産業」「補助教育産業」なんかはいい例だと思います。そこでユーザーに無料で使ってもらって、違うところから回収するレベニューモデル・マネタイズモデルを考えなくてはいけないのですが、現時点では決定的なものがあまりないのが実情なのかぁと。。 ③貧富格差、地域格差を前提にしたビジネスがある EdTechブームはUSから入ってきているため、タイムマシーンモデルでUSサービスを模倣するモデルも結構あります。それがUS固有の貧富による教育格差を解消するものや、広大な国土による距離の壁を解消するものであるだったりします。 当然、日本は相対的には貧富の差は少ないですし、日本の公教育はかなり平均的に行き届いています。国土も小さいので、大抵の教育サービスは容易に入手できます。 にもかかわらず、日本マーケットにおいて、USタイムマシーンモデルをやられようとしているサービスは結構あると感じました。日本にも教育格差や地域格差は確かにある、あるけれどもそれがスケールビジネスになるほどの課題かということを考えなければいけないと思います。 ④その事業はビジネスでやりたいのか、慈善・非営利活動でやりたいのか? 一応、スタートアップの話しですので、「ビジネス(営利活動)」を前提として考えていますが、営利と非営利の話しが混同して、同じテーブルで語られることが多いのも感じました。ちょっと土俵を分けて考えたいなぁというところです。とはいえ、日本の起業シーンでは資金調達手段が限定的なの事業特性にあったそれらを探すのが大変ですし、特にVCマネーを入れてみたものの時間軸が大きくずれていて、ミスマッチな事例がありますね。

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