前職の影響からか、教育セクターの方とのコミュニケーションが多く、
大企業からスタートアップ、民間セクターから行政や公務員等のパブリックセクターまで等多様な交流があります。
その中で最近一気に存在感を増しているのはEdTech(定義は多様ですが)というのはあまり異論もないと思います。
最近立て続けにSchooのクラスを受講しました(受講っていうのか?)。
本当に素晴らしい講師とコンテンツで、大変満足です。
今まで数万円、数十万円払ってビジネススクールで学んでいた内容レベル(というか、それよりも実務に近い)が、
無料で、自宅で受講できるなんて、少し昔から考えたら夢のような話です。
そういう意味ではEdtechプレイヤーの試みは本当に意義深く、世界を変える可能性を秘めていると思います。
で、どうやって(十分な)マネタイズしていくんだろう???
特に、VC等などのリスクマネーを入れたところなどは期待利回りを超えるリターンをどう生むのだろう。
そこが見えにくいんです。
私が前職で経験した教育ビジネス(EdTechに限りませんが)の難しさを以下3つにまとめます。
【1】教育サービスは経済外部効果が大きく働きやすいため、市場化しにくい
公共のただ同然の代替サービスが出てきたり、志でただ同然で同類のサービスをする民間人(団体)が出てきたり
するので、有料サービスで勝負する領域は相当ニッチなマーケットにならざる得ません。
そういう慣習があるので、市場(消費者)も教育サービスは「安い」のが当然のようになり、価格に大変厳しくなります。
ゆえにビジネスとして継続経済活動にするハードルはそれなりに高いんです。
グーグルやマイクロソフト、アマゾンのようなマネタイズポイントがたくさんあるプラットフォーマーが全社的な戦略の
一環として教育サービスを取り込むのは合理的なので、彼らにBuyOutみたいなのが目指すゴールでしょうか。
【2】教育サービスは提供者側の自己満足感が高い
(ちょっと偏見ですが、大抵共感は得られます。)
教育を志す方々は「市場のニーズ」よりも、「
自分が感じる
市場のニーズ」に応えようとします。結局、それは「自分の
満足」させえるためのサービスになりがちです。要は独りよがりのサービスが多いんです。
ゆえに、コンセプトやモデルは美しいし、理念は崇高なのですが、経済的に回らないビジネスプランが多いです。
01Boosterにも教育系のビジネスプランがたくさん持ち込まれるのですが、(社会としては意義深いんだけど)
「結局誰がお金払うの?」みたいなプランが本当に多いです。(というかほとんどそうです。)
よく、ローンチ当初盛り上がるサービスがあるのですが、消費者になりえない教育業界の内輪で盛り上がっていて、
一般市場には受けないようなサービスは結構あります。
【3】効果の発現が長期にわたる。
教育サービスは、効果が見えにくく、発現が長期に渡るため、顧客から信用を得て、市場から信頼され、浸透するに
は相当時間がかかります。
公文は創業55年、ベネッセ58年、学研67年、明光義塾52年、栄光33年、最近ブレイクしているはなまる学習会でも
20年以上経っています。(Edtechではありませんが、ベンチマーク企業がないため引用。)
現在の大手教育プレイヤーはとにかく長い歴史の中で信用を蓄積し、恐らく創業者の強い理念のもとで最初の10年
や20年冷や飯を食ってきたんだと想像しています。
そういう意味では、短期的なリターンを求めるVCマネー等とは本来相性は悪いんだと思うんです。
シュンペーターは言っています。イノベーション(変革)とは「経済的な成果」を生み出さなければならないと。
私の仲間がEdtechで勝負していますが、経済的な成果を上げ、継続経済活動として成立させて、はじめて世界を変
えたと言えるのだと思います。そして、彼らがそれを達成することを願っています。
なお、01Boosterは教育系スタートアップをえこひいき的に継続して応援しており、教育系スタートアップイベントを
定期的に開催して、好評を得ています。
2013年11月13日(水)19:00~ は恒例の教育スタートアップイベント【第6弾】です。
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