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初期投資ゼロの農薬散布サービスで世界へ—— 日本ドローン機構がベトナムで見つけた SprayGo という答え【Ryukyu Launchpad 2025】

本稿は沖縄県主催のスタートアップ支援プログラム「Ryukyu Launchpad 2025」(ベトナムコース)の Demo Day に登壇したスタートアップのピッチをお届けする。

国土交通省の登録講習機関として全国70校以上のドローンスクールを展開し、5,000人以上のパイロットを養成してきた日本ドローン機構(JDO)。
空撮から測量、販売・修理まで手がけてきた同社が Ryukyu Launchpad 2025 でベトナムに渡ったとき、当初の構想は現地でのドローン製造だった。だが現地調査を重ねる中で見えてきたのは、まったく異なる現実だ。
農業分野に特化したオンデマンドの散布サービス「SprayGo」を立ち上げ、現地法人の設立にまで至った経緯を、海外事業担当の須藤孝太氏が語った。

年収30万〜50万円の農家に
ドローンは「夢の話」

GDP 成長率7%超の ASEAN 有数の成長国であり、中国リスクの分散先としても注目されるベトナム。同社は同国を、ドローンソリューションを南アジアやグローバルサウスへ展開するための「ローンチパッド」と位置づけた。
しかし一部の農家がドローンを活用して収益を上げている一方、大多数にとっては手が届かない存在だった。

「ベトナムの一部の農家はすでにドローンを使って農業を最適化し、ビジネスとして収益を上げています。
しかし大多数の農家にとっては夢の話です。
ベトナムの農家の平均年収は30万〜50万円程度。
ドローンの高額な初期費用は、一人では超えられない巨大な金融バリアです」(須藤氏)。

このギャップを埋めるために生まれたのが SprayGo だ。
農家を単なる顧客ではなく「パートナーファーマー」と再定義する。
日本品質の技術サポートを提供する代わりに、農家が地域の農薬散布サービスを担う。
農家は高額なドローンを購入する必要がなく、散布サービスの収益で年収を倍増できるモデルなのだという。

沖縄とハノイ、「098」でつながる親和性

ベトナムでの活動成果は着実に積み上がっている。
現地法人「SprayGo Joint Stock Company」の設立を進め、大手有名VCのプログラムへも採択。
人材面ではホーチミン市経営技術大学(UMT)と戦略的MOUを締結し、2026年6月からドローンパイロット訓練を提供する予定だ。

ハードウェア面では、現地ドローンスタートアップ Saolatek と戦略的製造パートナーシップを締結した。
当初は自社でのドローン製造を構想していたが、コストと品質を両立するには現地の製造パートナーとの「共創」が最適だという結論に至ったのだ。
安定したサプライチェーンとコスト競争力の確保を狙う。

「ハノイは沖縄と同じ雰囲気を持っています。電話番号まで098で始まるんです。この文化的な親和性から、本当に成功できると確信しました」(須藤氏)。

「Technology for People, Drones for Community(テクノロジーを、人のために。ドローンを、地域のために)」——須藤氏がピッチで掲げたスローガンの通り、沖縄からベトナムへ、日本で培ったドローン運用のノウハウを現地の農家と共有する新たな挑戦が始まっている。

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