ゲノム解析の「インフラ」を変える—— 沖縄 OIST 発 GenomeMiner、ノーコード・バイオインフォマティクス基盤でシンガポール市場に挑む【Ryukyu Launchpad 2025】

本稿は沖縄県主催のスタートアップ支援プログラム「Ryukyu Launchpad 2025」(シンガポールコース)の Demo Day に登壇したスタートアップのピッチをお届けする。
医療分野におけるゲノミクス解析の新たな可能性を切り拓く GenomeMiner は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)発のバイオスタートアップだ。
共同創業者兼 CEO の Eli Lyons 氏が Ryukyu Launchpad のシンガポールコースで目指したのは、東南アジア最大のヘルスケア市場への足がかりを築くこと。
現地で得た手応えと、ビジネスモデルの転換について語った。
ゲノミクス解析を自動化・スケール化する
GenomeMiner が開発するのは、バイオテクノロジー企業、製薬企業、そして研究機関を対象に、ゲノミクス解析の自動化とスケール化を実現するマルチオミクスおよび AI プラットフォームだ。
ノーコード型のバイオインフォマティクスツール、AI による解析機能、そして Google Cloud を基盤としたスケーラビリティを統合した同社の中核プロダクトは、クライアントのインフラおよび人材コストを大幅に削減する。
具体的には、抗菌ペプチド(AMP)を活用した感染症の迅速診断プラットフォームを中心に据える。
従来の培養検査では結果が出るまで数日を要するが、同社の技術は数時間以内に病原体を特定できるという。
バイオインフォマティクスと AI を組み合わせて新しい抗菌ペプチドを探索・設計する独自のプラットフォームを構築しており、感染症検査、個別化医療、その他の医療関連用途への応用も見据えられている。
シンガポールを最初のターゲット市場に選んだ理由は明確だ。
世界有数のヘルスケアインフラを持ち、規制環境が整備され、東南アジア全体へのゲートウェイとなる地理的優位性がある。
さらに、シンガポール国立医療グループ(NHG)をはじめとする医療機関との連携が、臨床データの獲得と製品の検証に不可欠だと判断した。
SWITCH イベントで掴んだ商機と
OEM モデルへの転換
現地での活動は、シンガポール最大のテック・イノベーションイベント SWITCH への参加を軸に展開された。
SWITCH では複数の投資家やヘルスケア企業との接点を得たほか、DNA シーケンシングベンダーとの連携の可能性も見えてきたという。
特に大きな成果となったのは、事業モデルの転換だ。
当初、同社は自社のソフトウェアプラットフォームを B2B 向けサービスとして提供する計画を立てていた。
しかし現地でのインタビューを通じて、方針を大きく転換することになる。
今後は NHG との臨床パートナーシップを軸に、シンガポールでの製品検証を進める計画だ。
OEM モデルの採用により、自社での製造設備投資を抑えながら迅速な市場展開が可能になる。
東南アジアでの感染症診断ニーズは依然として大きく、GenomeMiner の技術がどこまで浸透するか注目される。