日本の伸びしろは女性起業家が切り拓く——東京都女性ベンチャー成長促進事業「APT Women」第10期成果報告会

2月12日、東京・丸の内の Tokyo Innovation Base にて、東京都主催女性ベンチャー成長促進事業「APT Women」第10期の成果報告会が開催された。
今期も多数の応募の中から選抜された40名の女性起業家がプログラムに参加し、約半年間にわたる国内プログラムと海外プログラム(ニューヨーク・シンガポール)を経て、事業の成長に取り組んできた。
成果報告会では、受講生を代表して5名の起業家が登壇。
先輩起業家として第4期生の秋元里奈氏(ビビッドガーデン代表取締役社長)によるキーノートスピーチも行われた。
APT Women とは

APT Women(Acceleration Program in Tokyo for Women)は、東京都が起業や経営者としての成長を目指す女性に、起業経営やスケールアップに必要な知識やスキルを提供するアクセラレーションプログラムだ。
育成講座、国内プログラム(選抜40名)、海外プログラム(さらに選抜20名)を年間を通じて実施している。
第10期の国内プログラムは2025年秋に実施された。
1期から9期までの累計では、資金調達242億円、大企業との連携900件以上、エグジット(M&A)の事例も複数生まれている。
第10期の国内プログラムでは、ビジネスモデルの検証からピッチトレーニングまで多岐にわたる講義に加え、多数の選択制講座や勉強会を実施。
各起業家の個別課題は、1対1またはグループのメンタリングで解消した。
また、海外プログラムはニューヨークとシンガポールの2カ国で各国10名を選抜して実施し、渡航前から現地メンターとのマッチングや仮説の整理を進めた。
日本の伸びしろは女性起業家が切り拓く

今回の登壇5社を振り返って印象的だったのは、いずれも海外プログラムの現場で「日本では当たり前のもの」が武器になると気づいていることだ。
冨永氏は焼酎を文化や歴史とセットで届けることに価値があると実感し、三嘴氏のクレイパックは抹茶を立てるような所作が「ジャパンリチュラル(日本的な儀式)」として反応を得た。
菅原氏の託児サービスは日本式のきめ細かなケアそのものが差別化要因であり、武井氏は日本に眠る IP を AI アニメで軽量に世界へ届けるモデルを構築した。
山下氏の ReCute は国内での急成長を足場に海外展開を見据える。
5社の事業領域はばらばらだが、起業家自身の原体験から出発し、日本固有の資産をグローバルな文脈に読み替えているという点で共通している。
もう一つ目を引いたのは、海外プログラム中の行動量だ。
冨永氏はシンガポールで16店舗に飛び込み営業をかけ、三嘴氏はニューヨークで22社と商談し5社と契約を進めている。
菅原氏は現地サーベイで富裕層ファミリー旅行者のインサイトデータを取得し、サービス名の変更にまで踏み込んだ。
限られた滞在期間の中で仮説を検証し、帰国後も商談を継続している姿は、APT Women が掲げる「一過性のインプットではなく持続的な関係構築」というプログラム設計が機能していることを示していた。
会の終わり、小池百合子 東京都知事は次のように成果を強調する。
「10期にわたって合計320人が学んできた。それぞれがこれまでになかったようなビジネスを自分で作り上げ、時価総額が100億を超える方々も出てきている。女性のアイデアはこれまでなかった分野に挑戦されており、ゲームチェンジャーでありブルーオーシャンだ。まだまだ日本には伸びしろがある。その伸びしろを伸ばすのはまさに皆さんの力だ」。
登壇した5人の起業家が次にどんな景色を見せてくれるのか、引き続き注目したい。