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焼酎スピリッツを承継していくための酒蔵のパートナー(LINK SPIRITS 冨永咲氏)

2月12日、東京・丸の内の Tokyo Innovation Base にて、東京都主催女性ベンチャー成長促進事業「APT Women」第10期の成果報告会が開催された。今期も多数の応募の中から選抜された40名の女性起業家がプログラムに参加し、約半年間にわたる国内プログラムと海外プログラム(ニューヨーク・シンガポール)を経て、事業の成長に取り組んできた。

成果報告会では、受講生を代表して5名の起業家が登壇。
本稿では成果報告会に登壇したLINK SPIRITS の取り組みについてご紹介する。

110の焼酎蔵がある鹿児島を拠点に、酒蔵のパートナーとして商品開発から販売まで新規市場の創造に取り組んでいるのが LINK SPIRITS だ。
代表の冨永咲氏は鹿児島生まれ。
大学進学で上京し東京で働いていた際に「安田」という焼酎と出会い、芋臭くて苦手と思っていた焼酎のイメージが大きく変わったことから、焼酎の魅力と可能性に引き込まれ、2022年に U ターン創業した。

焼酎業界は厳しい現状に直面している。
焼酎の出荷量は2000年代をピークに縮小傾向にあり、特に日常で飲まれてきたレギュラー酒の売上が著しく落ち込んで蔵の数も減少を続けている。
一方で海外市場はほとんど未開拓だ。清酒の輸出金額が約435億円(2024年、財務省貿易統計)に達する一方、焼酎は約17億円規模にとどまる。
冨永氏はそこに大きな可能性を見出した。

同社はエントリーからハイエンドまで3つの軸で商品開発に取り組んでおり、主力商品のピンク色の焼酎スピリッツ「NANAIRO(七色)」は、紫芋由来のピンク色とロゼワイン酵母による華やかな香りが特徴だ。
APT の国内プログラムでは、事業価値を整理し海外展開を前提に価格やブランドをグローバル基準で設計することに取り組んだ。

シンガポールプログラムでは、現地の酒屋の協力を得て約30人を対象に試飲会を開催し、リアルな声を収集。
そこで気づいたのは「商品そのものだけでなく、日本の文化や歴史とともに届けることに価値がある」ということだった。

さらにプログラム後の夕方から夜遅くまで毎日のように現地の飲食店を訪問し、16店舗に営業して5店舗以上から受注や前向きな返事を獲得した一方、酒税が海外展開の大きなハードルであることも実感した。
2026年3月3日に第一弾のシンガポールへの出荷を無事完了し、現在は酒蔵の歴史や伝統を体験してもらうツーリズムやマスタークラスの実施も計画しているほか、東京での販路拡大にも取り組んでいる。

冨永氏は鹿児島という地方に女性起業家のネットワークがほとんどない環境から参加したことを振り返り、「いろいろな分野で挑戦している仲間に出会えたことが大きかった。
メンターからの現地のリアルな情報をもとに商品サンプルをアップデートでき、視座が上がった」と語る。

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