クレイスキンケアでニューヨーク進出を果たす(klarm 三嘴香澄氏)

2月12日、東京・丸の内の Tokyo Innovation Base にて、東京都主催女性ベンチャー成長促進事業「APT Women」第10期の成果報告会が開催された。
今期も多数の応募の中から選抜された40名の女性起業家がプログラムに参加し、約半年間にわたる国内プログラムと海外プログラム(ニューヨーク・シンガポール)を経て、事業の成長に取り組んできた。
成果報告会では、受講生を代表して5名の起業家が登壇。
本稿では成果報告会に登壇したklarmの取り組みについてご紹介する。
「肌悩みに伴走するクレイスキンケアブランド」を展開している三嘴香澄氏がこの事業を始めたきっかけは、幼少期から抱えていたアトピー性皮膚炎による肌悩みだった。
肌の調子一つで気持ちが左右されたり、外に出ることをためらってしまったりする経験を何度も重ねる中で、「一人でも多くの方の肌で悩む時間を減らしたい。自分の肌を信じられる人を増やしたい」という思いから2021年にブランド「klarm」を立ち上げた。
現在は EC を中心に、国内外の B2B・B2B2C の卸し展開、サロン事業、自社ラボでの研究開発と、複数の収益の柱を組み合わせて事業を成長させている。
APT に応募した背景には「このまま今の延長線上を進んでいくだけでよいのだろうか」という問いがあった。
経営を体系的に学び直し、次の一手を描きたいという思いが参加の動機だったという。

APT 期間中の最大の成果は資金調達の実現だ。
三嘴氏は APT 参加前にはピッチ資料すら作ったことがなかったが、個人メンターとの1on1での事業計画のブラッシュアップや、すでに調達経験のある同期メンバーからのアドバイスを得ながら改良を重ね、調達に至った。
「起業の成長の形は一つではないという視点も APT を通じて学んだ大きな価値」と振り返る。
海外展開も大きく前進した。
ニューヨークでの10日間のプログラムでは22社と商談を行い、5社のホテルやリテールショップから契約に関して前向きな返答があった。
ヨガスタジオやエステサロンとのコラボレーションなど、現在も25社と商談が進行中だという。
ブルックリンではポップアップも実施し、現地ユーザーへのヒアリングを通じて海外市場への可能性を肌で感じた。
同社のクレイパックは「抹茶を立てるような所作で作る」という特徴があり、世界的な抹茶ブームと重なり「ジャパンリチュアル(日本的な儀式)」として現地で大きな反応を得た。
質疑で三嘴氏は「海外展開は遠い話ではなく、準備次第で現実になると実感できたことが一番の収穫」と語る。
当初は10日間海外に行く余裕が事業にあるのかと不安だったが、「今やるべきことと未来のための種蒔きの両方が必要」という気づきを得て、参加を決めたという。
今後は採用・組織を強化しグローバル展開に本腰を入れるとともに、2026年10月を目処に東京にフラッグシップストアをオープンする予定だ。
新規事業として、エステティシャンの隙間時間と肌相談をしたい人をつなぐオンラインサービスの展開も計画している。