日本の心を伝えるプレミアムチャイルドケアサービス「Family Concierge」(Synk 菅原沙耶氏)

2月12日、東京・丸の内の Tokyo Innovation Base にて、東京都主催女性ベンチャー成長促進事業「APT Women」第10期の成果報告会が開催された。
今期も多数の応募の中から選抜された40名の女性起業家がプログラムに参加し、約半年間にわたる国内プログラムと海外プログラム(ニューヨーク・シンガポール)を経て、事業の成長に取り組んできた。
成果報告会では、受講生を代表して5名の起業家が登壇。
本稿では成果報告会に登壇したSynk の取り組みについてご紹介する。
Synk は、訪日ハイエンド旅行者向けのプレミアムチャイルドケアサービスを提供する「旅行会社 兼 保育事業者」だ。
代表の菅原沙耶氏は、クルーズ旅行を中心としたラグジュアリートラベル業界で約20年のキャリアを持つ。
コロナ禍で旅行ビジネスが全面ストップした際にシングルマザーとなり、旅行業一本で子供を育てていくことに強い不安を覚えたことから国家試験を受けて保育士資格を取得した。
その学びの中で、保育士という職業が子供の命を預かるだけでなく人格形成に大きく寄与する重要なミッションを持つ職業であることに気づき、福祉とラグジュアリーホスピタリティを接続することで既存の構造を変えられるのではないか?という仮説から事業を構想した。
同社のサービスは、子連れ旅の「不完全燃焼感」を「自由と感動」へ変えることを目指す。
旅行者の体験満足度を最大化しつつ、国家資格を持つエッセンシャルワーカーがもっと輝き、適正な評価と対価を得られる市場を開拓する。

観光客が託児サービスを利用すると経済効果にも波及する。
例えばディナーは5,000円から5万円へと桁が変わり、保育士の時給は1,300円が2〜3倍になる。
経済と福祉が同じ方向に回り始めるのだ。
従来のベビーシッターサービスとは異なり、和文化の提供を通じて本質的な日本の心を伝え、預かりの時間を子供の学びと成長につながる時間へと昇華させる点も特徴だ。
菅原氏によると、APT 参加以前は「実績のない小さな会社としてテストローンチを積み重ねる日々」だったが、プログラム参加により信頼できる専門家とのネットワークを通じ事業の基盤を固め、東京都のサポート事業としての信頼も得て、JTB ロイヤルロード銀座や三井不動産ホテルマネジメントとの提携を実現したという。
これらの取り組みは国内の大手経済紙や英字新聞でも報道された。
ニューヨーク派遣プログラムでは、同社のフィロソフィー「Luxury, for Good.(社会に循環するラグジュアリー)」という概念を、文化と言葉が違う人たちに説明しフィードバックを得ることで、その輪郭が明確になったという。
また現地でのサーベイにより、日本初の富裕層ファミリー旅行者の訪日旅行に関するインサイトデータを取得。
自社のサービス設計に活かすとともに、インバウンド消費の更なる活性化に活かせるデータとして業界に提供しJNTOなどの公的機関との意見交換をおこなうに至った。
今後は外国人ファミリー向けハイエンド託児サービスを起点に、日本でのラグジュアリーなファミリーコンテンツプラットフォームへと拡張し、最終的には日本式ケアモデルの海外輸出を通じて日本のホスピタリティや精神性を世界に発信する。