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株式会社NTTドコモ発。非認知能力を育むプログラミング教育サービス 「embot」

株式会社e-Craft 額田一利さん

オープンイノベーションや、業界・業種を超えた提携、全社的な企業変革のその先で、大企業も中小企業も、スタートアップに負けない意欲的なチャレンジが求められている現在。企業の中の挑戦者に光を当て、挑戦者同士の出会いを生む場として「日本新規事業大賞 by Startup JAPAN」が企画されました。本稿では、2024年5月15日(水)に開催された同賞のピッチイベントの登壇企業が創造する新事業についてご紹介します。

市場拡大の追い風を受けて成長
趣味から始まったプログラミング教育サービス

学習指導要領の改訂に伴い、子ども向けプログラミング教育が順次必修化。2020年度の小学校での必修化以降、2021年は中学校の内容拡充、2022年は高校の必修化、2023年は大学共通テスト導入と拡大している。これに伴い、2020年に比べて2025年はプログラミング塾市場で2倍、学校教育市場で1.5倍と、プログラミング教育市場も拡大傾向だ。

プログラミング教育の本格化は後ろ倒しになったものの、GIGAスクール構想のタブレット導入は感染症拡大の影響で加速し、教育教材が導入しやすい環境になっている。株式会社NTTドコモ発の新規事業「embot(エムボット)」は、こうした追い風に乗り成長しているプログラミング教育サービスである。

Image credit: e-Craft

本サービスを提供する株式会社e-Craftの額田一利さんは、「embotは趣味からスタートした」と話す。

額田さん: ちょっと変わっているのが、ドコモの社員でありながらドコモとライセンス契約をしたということ。ドコモの法務部も『この契約書、効力が切れても記念に持っておいた方がいいよ』と言うほど前代未聞のことでした。

子どもの人生を豊かにする、非認知能力を育む

embotでは、協業相手のタカラトミーが量産・製造・販売するダンボールロボットと、iOSやAndroidで使えるビジュアルプログラミングアプリを提供している。配送された箱にはダンボールと電子工作キットを同梱。ハサミを使わずロボットを組み立てることができ、電子工作もハンダごては一切使わない。クマのロボットには、モーター、ライト、ブザーというハードウェアプログラミングにおける初期の3つのアイテムを感覚的に繋げることが可能。現在は進化して、スピーカーでおしゃべりもできるという。アイデア次第で楽しく個性的なembotを創り出すことが可能だ。

額田さん: 「あ、回転するモーターに付け替えたら車が作れるかも」とか「サランラップの芯をぐるぐる回してモノレールみたいなものが作れるかも」とかできます。実はタブレットのセンサーも使えるので、タブレットを傾けたら紙コップのタワーが傾くとかも可能です。

僕も節分の時は方位をembotで探して、『今ここで食べて!』と言われたところで恵方巻きを食べたりしました。あと、WEB API連携もできるようになって、気象庁のデータを引っ張ってきて『明日は雨だから傘を持って行ってね!』と教えてくれるembotを、なんとお子さんが自分で作ったりした例もあります。

近年、「非認知能力」が教育分野で注目を集めている。文部科学省では、非認知能力を「主に意欲・意志・情動・社会性に関わる3つの要素(①自分の目標を目指して粘り強く取り組む、②そのためにやり方を調整し工夫する、③友達と同じ目標に向けて協力し合う。) からなるもの」と定義づけている。

また、e-Craftも「学力テストなどでは数値化されない、子どもの将来や人生を豊かにする力」と説明し、幼児期から学童期に育ちやすいとしている(詳しくはこちら)。専門家によれば、非認知能力を育てるポイントは「遊びを通して育む」「好きなことを通して育む」「周囲との関わりの中で育む」という3つ。embotは家庭で、楽しみながら無理なく非認知能力を育むことが可能なプロダクトともいえるのではないだろうか。

大企業のアセットを活かして拡大
創造する人であふれる社会の実現へ

e-Craftは、立ち上げ当初からコンシューマー向けと学校向けという両軸で事業展開。コンシューマー向けにはDoCoMoショップでも連携するなど、ドコモのアセットを活用しながらembotの事業拡大を図っている。また、学校向け展開でも、20〜30の自治体、東京都葛飾区の全小学校を含む約150の学校でembotが導入され、授業が行われているという。

額田さん:2020年の2Qまでに3.5万台を突破し、これを受けて2021年に会社を設立しました。最初は小学校からスタートしましたが、特別支援教育、中学校、高校、社会人と拡大し、モノ売りからコト売りにビジネスモデルも展開しています。将来的にはお子さまが自分の力でプログラミングサービスを作って販売できる世界まで持って行けたらと考えています。

 Image credit: e-Craft

先日、新商品を発売し、世界三大デザイン賞である「iFデザインアワード2024」や「キッズデザイン賞2023」を受賞したembot。これからの成長に大いに期待したい。

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