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"連続社内起業家"が挑むのは、東レのフルパワーで放つ先端素材による未来のファッション|MOONRAKERS TECHNOLOGIES

MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社 代表取締役 西田誠さん

オープンイノベーションや、業界・業種を超えた提携、全社的な企業変革のその先で、大企業も中小企業も、スタートアップに負けない意欲的なチャレンジが求められている現在。企業の中の挑戦者に光を当て、挑戦者同士の出会いを生む場として「日本新規事業大賞 by Startup JAPAN」が企画されました。本稿では、2024年5月15日(水)に開催された同賞のピッチイベントの登壇企業が創造する新事業についてご紹介します。

東レ入社後、3度目の新事業に挑戦する"連続社内起業家"

MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社は東レグループのスピンオフベンチャー。代表取締役の西田誠さんは、東レに入社後から素材開発に携わり、1つめの新事業として当時先端素材だったフリースの事業に挑戦。東レとユニクロによる取り組みのきっかけを創りました。また、2つめの社内ベンチャーとして、先端素材をベースとした縫製品のOEM部隊を立ち上げ。7年で50億円規模まで事業を拡大しました。そして、2022年から取り組む3つめの社内ベンチャーが、このMOONRAKERSです。

Image credit: MOONRAKERS TECHNOLOGIES

西田さんによる3度の新事業への挑戦は、いずれも先端素材に関するもの。先端素材分野における事業創造の豊富な経験を有した"連続社内起業家"ともいえるでしょう。しかし、その西田さんをもってしても、東レで前例のないD2Cビジネスに苦しんだといいます。それを乗り越えて着実に事業を拡大し、2023年に出向起業形式で事業をスピンオフさせました。

日本の先端素材は世界最高レベル

90年代のフリース素材、2000年代の吸湿発熱素材、現在では宇宙空間などの極限環境でも快適性を提供する先端素材。なかでも日本の先端素材は世界最高レベルを保持しており、世界を変える力があるにもかかわらず、埋もれ廃れる危機に瀕していると西田さんはいいます。その背景にあるのは、長く続くデフレ環境。小売やアパレルは価格重視の姿勢を強め、先端素材の需要は激減しているのです。

西田さん:私たちはこうした環境に非常に危機感を覚えるとともに、問題意識を持っています。その問題意識とは、「日本の技術と素材が、このまま埋もれてしまっていいのか。ファッションビジネスが本当にこのままでいいのか」という疑問です。そうした問題意識を抱えた私たちが立ち上げたプロジェクト、それがMOONRAKERSです。

この名前は「届かぬかもしれない夢を追い続ける馬鹿者たち」という意味合いを持っています。私たちは素材の力を信じ、ファッションビジネスの常識感を覆す挑戦を、理想を目指して進めていくことにいたしました。

4倍速の"超速"で世に送り出されるプロダクト

最新の先端素材と日常生活をダイレクトに繋ぎ、快適で便利で美しい「ミライの生活」の創造を目指すMOONRAKERS。そのプロダクトは、クラウドファンディングの受注販売システムを活用して届けられています。

Image credit: MOONRAKERS TECHNOLOGIES

この手法の利点は、受注生産ゆえに在庫リスクを負うことなく新商品を連続ローンチできる点。唯一無二の先端素材を使用した商品はユーザーの大きな支持を受け、現在では毎月のようにプロジェクトを実行。1ヶ月の売り上げが数千万に及ぶことも珍しいことではないといいます。

西田さん:そうした状況を踏まえて、既存のアパレルや小売りの意識も変わってきました。従来難しかった先端素材の採用が進み、先端素材を使用した「ミライの生活」の社会実装が進んでいることを実感しています。ユーザー、アパレル、小売の支持を得たことで、売上も急拡大を遂げています。

クラウドファンディングの受注販売システムを活用する利点のもう1つは、取引先経由ではなくダイレクトに明瞭なユーザーボイスを獲得できること。寄せられた声をもとに、同社はテクノロジーの革新を進めています。例えば、先端素材商品を開発・生産し世に出すまでに従来は平均2年程度かかったところが、MOONRAKERSは半年程度。実に4倍速という驚異的なスピードを、西田さんは「未来を引き寄せる感覚」と表現しました。

圧倒的な機能性・快適性・利便性・耐久性。
東レのフルパワー、MOON-TECH®︎

この4倍速の超速で開発された、東レのフルパワーによる先端素材が「MOON-TECH®︎」です。圧倒的な機能性・快適性・利便性・耐久性を持ち、日本のみならず台湾でもユーザーの熱狂的な支持を受けて継続的に越境ECやインバウンド購入されるなど、その熱は海外へも伝播しています。

Image credit: MOONRAKERS TECHNOLOGIES

さらに、「MOON-TECH®︎」に続いて「アルティマフレックス」や「カミフ」など、服の在り方を変えるヒット商品が次々とユーザーの声を元に誕生しています。MOONRAKERSの今後を、西田さんは次のように語りました。

西田さん:私たちはユーザーの声から新素材を高速で開発しします。志を同じくする多くのブランドとの新規コラボレーションを急速に推進します。そして最後に、日本のみならず海外も積極的に拡大します。私たちはそれらのポテンシャルを持っています。すなわち、将来的な未来のポテンシャルは無限大だと考えています。

東レの過去の新事業は、ユニクロとの取り組みや、素材から縫製まで事業を川下延伸するということをやってきました。私が今までやってきた新事業の形が、現在における東レの既存事業の形になっています。東レはこれらの新事業で繊維事業の売り上げを10倍増に迫る水準、1兆円規模まで拡大しました。私たちは再度、先端素材で服を変え、関わる全ての皆様とともに、高速で世界を変えていくことに挑戦したいと考えています。

日本の企業には素晴らしい宝の山がある

長い大企業人生の中で3度社内ベンチャーを興した西田さんは、稀有な存在のように思えます。しかし、西田さんは「東レとMOONRAKERSの事例は特別な事例ではない」と言い切るとともに、このようにプレゼンテーションを締めくくりました。

西田さん:日本の企業には素晴らしい宝の山がたくさんあるのです。それは技術、そして人。ここにいらっしゃる皆さまです。素晴らしい日本の宝の山を再発見しましょう。そして、ともに日本そして世界を変えていきましょう。

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