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CVCが切り拓く新たな化学の未来­­­­——三井化学が語るInnoScouterの可能性

三井鉱山の石炭化学事業に端を発し、連綿と紡がれた歴史は100年以上。常に時代のニーズに応える製品を送り出す、化学産業のグローバルリーダー・三井化学株式会社。急速に変化する市場環境の中で、同社は2022年にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)「321FORCE™」を立ち上げ、グローバルな視野で様々なステージのスタートアップに投資を行っています。

しかし、多岐にわたる投資対象と膨大な情報の管理には独自の課題があります。そこで導入されたのが、スタートアップ連携管理クラウドサービス「InnoScouter(イノスカウター)」です。三井化学のCVC活動はどのように進化し、その中でInnoScouterはどのような役割を果たしているのでしょうか。株式会社ゼロワンブースター取締役の川島健が、三井化学株式会社 新事業開発センター CVC部門 プリンシパルの矢田ゆかりさんにお話を伺いました。

三井化学株式会社 新事業開発センター CVC部門 プリンシパルの矢田ゆかりさんと、聞き手を務めたゼロワンブースター 取締役 川島健

三井化学の「未来の事業の種」を探し、育てる

──矢田さんのご所属や業務内容について、お伺いできますでしょうか?

矢田さん:私は今、三井化学の新事業開発センターのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)部門に所属しており、投資を通じてスタートアップ企業の皆様と関係をつくり、共に「未来の事業の種」を探す業務をしております。

——「未来の事業の種」という表現、素晴らしいですね。では、どのようなテーマや領域で協業先や投資先のスタートアップを探しておいでなのでしょうか?

矢田さん:「321FORCE™」では、6領域のスタートアップの成長を促進して、両者の企業価値の向上に貢献に挑戦しています。まず、当社の既存4事業部に関連したライフ&ヘルスケア、モビリティ、ICT、カーボンニュートラルという領域です。それから今後どういう新材料が来るかをモニタリングするという意味合いで新素材、これまで提供できなかった新しい価値を生み出す手がかりをつかむという観点でDXも見ています。

三井化学株式会社 新事業開発センター CVC部門 プリンシパルの矢田ゆかりさん

矢田さん:CVCと一口に言っても、事業会社によって色々な性質や機能を帯びていると思います。我々としては、投資の機能と事業開発の機能があると考えています。また、これら機能を支えるべく、「世の中がどのように変化しているのか」についての情報収集も重要です。

 

投資の機能と事業開発の機能を比べると、私たちは事業開発により重きを置いており、まずは事業を共に創るための種を探し、そこへ投資していくことを目指しています。今後は情報に関する機能、例えばリサーチ機能や情報ストック機能といったところもより強化していきたいですね。

三井化学が構築する
インテリジェンス・プラットフォーム

三井化学は、社内から提起される発想とスタートアップの技術や事業とのマッチング、先進情報へのアクセシビリティ向上を進め、全社一丸となった新事業創出に向けた全社インテリジェンス・プラットフォームを構築することで、「VISION2030」の基本戦略の一つである「ソリューション型ビジネスモデルの構築」を強化していきたい、と発表しています。インテリジェンス・プラットフォームの構築にInnoScouterはどのように寄与しているのでしょうか。

聞き手を務めたゼロワンブースター 取締役 川島健
——では、CVC活動を支援するツールとして、InnoScouterを導入された経緯について伺えますでしょうか?

矢田さん:2022年に「321FORCE™」の活動がスタートすると同時にスタートアップを探し始めました。当時、まだチームは小さかったのですが、だんだんと色々な情報が増えきて、「いずれこれは手に負えなくなる。情報管理の観点でも社内での情報共有という観点でも、何らかのツールは絶対必要だな」と思い始めまして。ちょうどその頃に川島さんと出会って、お話するうちに「これはいいな」と感じて取り組みをスタートしました。

 

InnoScouterは事業会社がスタートアップの情報を取り込んで社内に共有するのに特化していて、そこが私たちのチームのニーズにはまったと感じています。

——実際に、日々の業務ではどのようにInnoScouterを活用いただいているのでしょうか?

矢田さん:私たちCVCチームが探索しているスタートアップの情報を集約して、一元管理しています。また、CVC各メンバーの活動ノートもここに集約して、お互いに見ることができるようになっています。担当は誰なのかだけでなく、「探索中」をはじめとした現在の状態を画面上で分かりやすく表示いただいている点は非常に助かっています。CVCチームの中で、情報ストックツールとして定着化できていると感じています。

——CVCを立ち上げた頃はExcelをご利用で、しばらくしてからツールに移行しておいででした。使用感として、どのようなところが変わったなどありますでしょうか?

矢田さん:情報が振り返りやすく、調べやすくなったと感じています。スタートアップを探索するフェーズで、検討の履歴をどんどん追加し、タグを付けたりできますので、Excelよりもスタートアップの情報にたどり着きやすくなりました。仮に担当者が変わっても、同じ情報を共有できそうですし、業務上助かっています。

情報管理の課題をいかに解決するか?

CVCの活動において、情報管理は重要な課題の一つです。その課題の解決方法ついて、矢田さんに伺いました。

——データベース化していくことは、Excel管理からツール活用に移行するときの一つの目的ですよね。「データとして良い状態を保つ」ことには役立っていますでしょうか。

矢田さん:Excelでは重複があってもそのままになりかねないですが、重複案件があった時にエラーが表示できる機能を組み込んでいただいているのは、データ管理上、ありがたいです。

——ご利用シーンやニーズの変化に応じて、InnoScouterの使い方も変わりそうですね。

矢田さん:貴社とは定期的にミーティングをしながら都度リクエストを吸い上げて、カスタマイズいただいているので助かっています。ちょうど仕様に加えられないかと考えていることがありますので、まとまったらご相談させてください。

——確かに、CVCとかイノベーション活動は戦略業務ですから、企業によって文化も戦略も異なってくると思います。個社の考え方の業務フローに応じたカスタマイズ性は、今後も高めてまいりたいと思っています。今後ともよろしくお願いします!
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