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渦の力で山間部でも発電と通信を提供「ハイドロヴィーナス」の可能性/北陸富山・日本海ガス絆HDと共創6社 #NGAS2023

流体力学に基づく「渦」を活用したデバイス・ソリューションを開発するのがハイドロヴィーナスだ。岡山大学発のベンチャー企業で、創業は2015年。同社が開発する振り子型水力発電モジュール「ハイドロヴィーナス」は水流の中にある渦のエネルギーを利用して発電することができる。その独特な手法のメリットをハイドロヴィーナス代表取締役の上田剛慈氏は次のように語る。

「係留するだけで発電機が使えるようになります。漂流物が絡まないので浅い場所、狭い場所でも動作する。そういうメリットがあります。これの嬉しいところはどんな大きさでも実現できるということで、小さなところ治水のデジタル化におけるセンシング電源みたいな用途もあれば、巨大な発電をして、町を賄うような電力のターゲットにも使える。私達はこの発電機を提供するというよりは、ソリューション提供したい」(上田氏)。

ハイドロヴィーナスは流れがある場所に係留するだけで、電力を生み出しながら流速や水位を計測できる。自己発電できることから、安定した流れのある場所では電池交換が不要となり、設置に大掛かりな工事も必要としないメリットがある。収集したデータはクラウドに集められ観測・分析することができる。

ハイドロヴィーナス(ウェブサイトより

上田氏らチームでは今回のプログラムを通じて富山県牛ヶ首用水を実証フィールドに、水量制御の最適化や用水管理技術の高度化、流域治水の可能性などを検証した成果を披露した。この検証では貴重なデータを収集できたという。

「今、100年に一度の水害と言われていて、AIを使って解決できないかと言われるのですが、AIを使うとすると学習させなきゃいけない。そのためにはデータが必要なんですけど、川に関するデータが極めて乏しいという現実があります。例えば山間部河川っていうのは、水は上から下に流れていきます。山の変化が起きてから、実は下流が増えるまで1日以上かかったりとか、そういう意味でも山は非常に重要です」(上田氏)。

ただ、こういった場所というのは電気や通信がない。そこで自己発電できるハイドロヴィーナスの出番、というわけだ。水流を力に発電して通信できるモジュールを経由することで、クラウドにデータを送りデータを解析する。上田氏は環境変化が大きい今だからこそ、このデータ、そしてその先にビジネスチャンスがあると語る。

「今回の実証実験は他の自治体からも問い合わせがあるなど反響が大きかったです。実証は今後も継続し、富山から全国を狙いたいと考えています。またハイドロヴィーナスで構築した計測網は同時にエネルギーと通信インフラにもなります。見守りとか農業DXなど公共性の高い事業につながる可能性がある」(上田氏)。

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