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プロジェクト期間中に有償サービス提供を実現  日本海ガスで不動産領域に挑んだチームによるオープンイノベーションの実践

日本海ガス絆ホールディングス株式会社では、人口減少や脱炭素化など事業環境の変化を見据え、2030年に向けた事業ポートフォリオ変革を推進している。

その実現に向けて、既存事業だけでなく新たな収益の柱を生み出す必要があると考え、スタートアップとの共創によるオープンイノベーションに取り組んでいる。

その一環として、2023年から01Boosterとともにオープンイノベーションプログラムをスタートさせ、取り組みは3期にわたり継続実施された。その結果、これまでに複数の共創案件や業務提携・出資案件を創出してきた。

今回紹介するのは、第3期プログラムで不動産管理チームが取り組んだ共創プロジェクトの一つだ。また、本プロジェクトは、計3回のオープンイノベーションプログラムで初めて、有償でのサービス提供へと発展した。

その裏側では、どのような試行錯誤や意思決定があったのか。プロジェクトメンバーの一員として参加した2名と、事務局担当者に話を聞いた。

顧客の声を聞くところから始まった

今回のプロジェクトでチームが着目したのは、不動産管理会社が抱える業務課題だった。

参加したのは、チームの責任者を務めた日本海ガス 経営企画部人事グループ マネジャーの石原秀一氏と、家庭向けのガス機器関連サービスを手がけるモット日本海ガス 南店 営業第一チームの根建友紀氏だ。

当初から具体的なサービス案があったわけではない。

まずは顧客がどのような課題を抱えているのかを知るため、不動産管理会社へのヒアリングからスタートした。

根建氏は当時を振り返る。
「最初は何が課題なのかも正直分かっていませんでした。まずはお客様の声を聞いてみようというところから始まりました。」

ヒアリングを進める中で見えてきたのは、人手不足や業務負荷の増加に悩む不動産管理会社の実態だった。

特に、巡回点検や軽作業、修繕対応などの現場業務については、
「もっと効率化したい」
「信頼できる外部パートナーがほしい」
という声が多く聞かれたという。

石原氏は、
「こちらが想定していた課題と、実際にお客様が困っていることにはギャップもありました。顧客の声を聞くことの大切さを改めて感じました。」
と語る。

スタートアップとの共創で仮説を磨く

今回共創したのは、不動産管理業界向けのサービスを展開するCOSOJI株式会社だった。

日本海ガス絆ホールディングスが持つ地域ネットワークや顧客接点と、COSOJIが持つ不動産管理業務のノウハウやサービス基盤を組み合わせながら、サービスの検討を進めていった。

顧客ヒアリングを重ねる中で、
・どのようなサービスが求められているのか
・誰に提供するべきなのか
・本当に対価を払っていただけるのか
を検証していった。

仮説を立てては顧客にぶつける。
その繰り返しだったという。

有償サービス提供という壁

プロジェクトが進む中で、チームは大きな壁に直面する。

それは、
「本当にお金を払っていただける価値があるのか」
という問いだった。

実証実験として取り組むことはできる。

しかし、有償で提供するとなると話は別だ。

当時、プログラム事務局としてプロジェクトを支援していた日本海ラボ オープンイノベーション推進チーム 主任の吉野毅士氏は当時を振り返る。

「メンバーもかなり悩んでいました。実証実験として進めるだけなら比較的取り組みやすいのですが、有償にするとなると、本当に価値を認めていただけるのかを考えなければなりません。」

チームは顧客への提案内容やサービス内容を見直しながら、何度も議論を重ねた。
その過程では、支援会社である01Boosterとの定期的な壁打ちも行われていた。

石原氏は当時を振り返る。
「自分たちだけで考えていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。01Boosterとのミーティングでは、事業として成立させるために何を考えるべきか、どこを深掘りすべきかを整理していただきました。」

そうした議論と検証を重ねた結果、プロジェクトは期間中に有償でのサービス提供を実現した。
単なる実証実験ではなく、市場から対価をいただくところまで到達したことは、チームにとって大きな成果となった。

参加者自身にも起きた変化

今回のプロジェクトを通じて、参加メンバー自身の意識にも変化が生まれた。

根建氏は、
「普段の業務では既存事業の視点で考えることが多いのですが、お客様が本当に困っていることは何かを考える機会になりました。」
と振り返る。

石原氏も、
「正解がないテーマを考え続ける難しさを感じましたが、それ以上に面白さを感じました。」
と語る。

顧客と向き合いながら仮説を立て、検証し、改善する。
その経験は、参加者にとって大きな学びとなった。

有償化はゴールではなくスタート

今回のプロジェクトは、有償サービス提供という成果を生み出した。
しかし、日本海ガス絆ホールディングスではそれをゴールとは考えていない。
現在は事務局がバトンを引き継ぎ、事業化に向けた検討を進めている。

吉野氏は次のように語る。
「有償で提供できたことは一つの成果ですが、私たちとしてはそこがゴールだとは思っていません。せっかく生まれた取り組みですので、ここで終わらせるのではなく、しっかり事業として育てていきたいと考えています。」

オープンイノベーションは、スタートアップと出会うことが目的ではない。
顧客課題と向き合い、新たな価値を生み出し、それを事業へと育てていくことに意味がある。
日本海ガス絆ホールディングスの不動産領域における挑戦は、今まさに次のフェーズへ進もうとしている。

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