介護施設の人手不足緩和に役立つ、高齢者ケアのためのメタバース「CAREVERSE」|明治アクセラレーター2022
本稿は明治アクセラレーター2022のデモデイ(最終成果発表)のレポートの一部。採択された各社の共創活動をご紹介します。
現在、介護事業者は非常に慢性的な人手不足に陥っています。厚生労働省の専門委員会によれば、国民の約3割が65歳以上の高齢者となる2025年には約30万人の介護職員が不足するとされ、2040年には65歳以上の高齢者人口は35%以上となり、約70万人の介護職員が不足すると予測されています。しかし、介護職員の不足が解消される見込みは薄く、現在でも有効求人倍率が3〜4倍という需給バランスの崩れた状態が続いています。そこで注目を集めているのが、介護現場での有償ボランティアの活用です。
介護現場では、有償ボランティアが協力可能な、資格や介護技術の専門技術がなくても働ける領域が30〜40%程度あります。しかし、実際のところ、有償ボランティアはあまり普及していません。その理由について、けあばーす代表取締役の山中裕太さんは、働き手が有償ボランティアに必要な無形報酬(やりがいや達成感など)を十分に感じられていないことが課題と考え、働き手の無形報酬を醸成するための介護事業者向けコミュニティアプリ「CAREVERSE」を構築しました。
二次元のメタバースであるCAREVERSEは、介護事業者が利用者の家族や地域住民とコミュニティを築くことを容易にします。アプリ内ではビデオ通話を行ったり、介護事業者が有償ボランティアをユーザーに向けて募集することができます。また、オンラインイベントスペースでは資料展開やプレゼンテーションも可能です。CAREVERSEを活用することで、介護事業者は間接業務や間接介助の業務負担を軽減できるほか、利用者の家族や地域住民は面会の機会やスキマ時間を活用しながら報酬獲得の機会を得ることができます。
「プログラム期間中には、(明治アクセラレーターの)カタリストの方々に介護施設に来ていただきました。実際に「CAREVERSE」のアプリを介護現場の方々に使っていただいて、施設利用者である高齢者の方々にも、オンラインの講義を受けていただき、CAREVERSEを通して、明治様の商品の魅力が伝わるかどうかを検証をさせていただきました。
つまり、デジタル機器を活用した高齢者向けのマーケティング検証ですね。この検証からは、高齢者の方々は、自ら進んで新しいアプリを使いたいという意見は多く無かったのですが、施設の協力があれば、デジタルを通して、製品価値を理解でき、また興味を示していただけると結論づけることができました。」(山中さん)
CAREVERSEのビジネスモデルは現在のところ、介護事業所に活用してもらうほか、デジタルマーケティング支援ツールとして企業に活用してもらうことを想定しています。市場が大きい高齢者市場ですが、若者や中高年の人々とは異なる、有効なマーケティングチャネルはあまり多くありませんでした。介護事業者にとって役立つアプリが、介護現場の協力で高齢者への効果的なマーケティングチャネルにもなる可能性が十分に確認できたようです。
明治アクセラレーター2022 デモデイの模様を公開中!
デモデイ当日の模様を収めた動画をWebサイトにて公開中です。
ぜひご覧ください。
https://01booster.com/program/meiji/
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